そしてバトンは渡された

本屋大賞


親が何人いても、愛情は本物だった——。

3人の父と2人の母のもとをリレーされながら育った女の子の物語。瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』は、2019年の本屋大賞を受賞し、2021年には永野芽郁・田中圭・石原さとみ主演で映画化もされた、日本中が涙した大ヒット作です。

Audible版のナレーターを務めるのは声優・島田奈歩さん(現・香坂奈歩)。主人公・優子の等身大の声が、温かな物語をさらに耳に優しく届けてくれます。再生時間は約11時間52分。長い物語ですが、聴き始めたら止まらない一作です。

📚 作品の基本情報

  • タイトル:そして、バトンは渡された
  • 著者:瀬尾まいこ
  • ナレーター:島田奈歩
  • 出版社:文藝春秋
  • ジャンル:ハートフル小説・家族小説
  • 受賞歴:第16回本屋大賞受賞(2019年)
  • Audible再生時間:約11時間52分
  • 映画化:2021年公開(永野芽郁・田中圭・石原さとみ主演)

📖 あらすじ

主人公は高校3年生の森宮優子。17歳になるまでに苗字が4回変わり、家族の形が7回変わるという、一見複雑な境遇を持つ女の子です。

幼い頃に母を亡くし、父の海外赴任を機に継母・梨花を選んで別れ、さらに梨花が再婚・離婚を繰り返すたびに新しい家族のもとへ渡されていった優子。今一緒に暮らしているのは、自分より20歳しか年上でない〝父〟の森宮壮介です。

血の繋がらない大人たちのあいだをバトンのようにリレーされてきた優子。ところが彼女は、「かわいそう」でも「不幸」でもありませんでした。出会うすべての家族が、それぞれの形で精一杯の愛情を注いでくれていたから。

物語は、優子の現在と、梨花という自由奔放な女性が「みぃたん」と呼ばれる幼い優子のそばにいた過去とを交互に描きながら進んでいきます。やがて卒業式を目前に控えた優子が自分の伴侶を持とうとするとき——すべての点がひとつの線としてつながり、タイトルの意味が胸に響いてきます。

✍️ 著者プロフィール:瀬尾まいこ

瀬尾まいこさんは1974年1月16日生まれ、大阪府出身の小説家です。本名は瀬尾麻衣子。大谷女子大学国文科を卒業後、中学・高校の国語教師として教壇に立ちながら執筆活動を続けてきたという異色の経歴を持ちます。

2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年に単行本『卵の緒』で作家デビュー。その後も教師と作家の二足のわらじを長年にわたって続けました。主な受賞歴は以下のとおりです。

  • 2005年「幸福な食卓」で吉川英治文学新人賞
  • 2008年「戸村飯店 青春100連発」で坪田譲治文学賞
  • 2013年 咲くやこの花賞
  • 2019年「そして、バトンは渡された」で第16回本屋大賞

家族・学校・友人などを題材にした、温かくてやさしい人間関係を描く作風が特徴です。近年は発表する作品が次々と映像化されており、映画『夜明けのすべて』(2024年)はベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品され、国内外で高い評価を得ました。また、書店への思いが深く、2024年刊行の『そんなときは書店にどうぞ』では印税の受け取りを辞退し、その分を書店に補填する姿勢で話題を集めました。

🎙️ ナレータープロフィール:島田奈歩

島田奈歩(しまだ・なほ)さんは、Audible版『そして、バトンは渡された』の朗読時の名義で、現在は香坂奈歩(こうさか・なほ)の名前で活動している声優さんです。

TVアニメ『ヤマノススメ Next Summit』(2022年)などへの出演歴があり、落ち着きのある透明感のある声質が持ち味です。Audible版『そして、バトンは渡された』での朗読は、リスナーから高い評価を受けています。主人公・森宮優子の17歳という設定に対してやや大人びた声質ながら、「優子という人物の姿かたちまで想像させるような声で、全編を通じて違和感なくスッと耳に入ってきた」という感想も多く寄せられています。男性キャラクターのセリフも自然に演じ分けており、長編をひとりで読み切るナレーターとしての力量が光る一作です。

🎧 Audibleで聴くポイント

◆ 通勤・家事のながら聴きにもぴったり

物語の構成は、優子の現在と梨花の過去が交互に描かれる形ですが、どちらのパートもテンポよく展開するため、ながら聴きでも置いていかれる感覚がありません。1回の通勤で1エピソード分ほど進むのがちょうどよいペース感です。

◆ 声で聴くと、家族のやりとりが生き生きする

本作の魅力のひとつは、優子と森宮さんの父娘漫才のような掛け合い。文字で読んでも楽しいシーンですが、声で聴くとそのテンポ感と温かさがより際立ちます。声優・島田奈歩さんのキャラクター演じ分けが、登場人物一人ひとりの個性を際立たせてくれます。

◆ 「現在」と「過去」、ふたつの物語が交差する構成を楽しんで

優子の視点で語られる現在パートと、梨花目線の過去パートが交互に展開します。「このふたりはどこでつながるの?」というわくわく感が推進力になって、自然と続きが聴きたくなります。

◆ ラストは泣ける。移動中は注意

終盤、すべてのピースがはまった瞬間の感動は格別です。電車や職場での聴き流しには向かない場面もあるので、クライマックス付近は落ち着いた環境で聴くことをおすすめします。

💬 ひよりの感想

① 「かわいそうな子」にならない優子が好き

複雑な家庭環境の主人公と聞くと、暗い話を想像しがちですよね。でも本作はまったく違います。優子は環境をありのままに受け入れて、むしろ「私、ちゃんと愛されてきたな」と思えている。その健やかさがこの物語の一番の魅力だと思います。

② 梨花というキャラクターの魔力

浪費家で自由奔放、一見無責任にも見える継母・梨花。でも彼女の行動の根っこには、「優子に幸せになってほしい」という強い思いがあります。物語を読み解くにつれてその深さが見えてきて、後半は梨花の章を読む(聴く)のがすごく好きになりました。

③ 森宮さんとのやりとりが最高のコメディリリーフ

二十歳しか年の離れていない父・森宮壮介との会話がとにかく笑える。いい意味でドラマチックじゃない、ゆるくて温かい日常の描写が心地よくて、Audibleで聴いていると思わず笑顔になる場面がたくさんあります。

④ タイトルの意味が、最後に全部わかる

「バトンが渡される」という表現が、読み進めるうちに何度も違う意味を帯びてきます。ラストまで読んで(聴いて)初めて「そういうことか!」となる瞬間の気持ちよさは格別。タイトルのつけ方だけで、この作者の力量がわかると思いました。

⑤ 島田奈歩さんの声で聴いてよかった

優子の落ち着いた語り口が、物語全体の「重くなりすぎない」トーンをうまく支えていました。感情過多にならず、でも温かみはしっかり届く。こういう一歩引いた朗読が、本作にはちょうどよかったと思います。

⭐ 項目別評価

項目 評価 コメント
ストーリーの面白さ ★★★★★ 二軸の構成が絶妙で引き込まれる
キャラクターの魅力 ★★★★★ 優子・梨花・森宮さん、全員が立っている
Audibleとの相性 ★★★★★ ながら聴きでも置いていかれない構成
ナレーションの質 ★★★★☆ 落ち着いた演じ分けが物語にマッチ
ながら聴きのしやすさ ★★★★★ テンポよく進むので通勤・家事にも◎
初心者へのおすすめ度 ★★★★★ Audible入門の一冊として最高の選択

🙋 こんな方におすすめ

  • ✅ 温かくて泣ける家族の物語が好きな方
  • ✅ 本屋大賞・話題作を効率よく読みたい方
  • ✅ ながら聴きで楽しめる作品を探している方
  • ✅ 映画を観て原作も気になっている方
  • ✅ 「家族ってなんだろう」と考えたことがある方
  • ✅ Audibleをはじめてみようか迷っている初心者の方

📝 まとめ

『そして、バトンは渡された』は、複雑な家族の形をしているのに、読み終えた後は「愛って、血じゃないんだな」とじんわり温かくなれる一冊です。笑えて、泣けて、最後はちゃんと希望が残る——そんな作品をAudibleで聴けるのは、本当に幸せなことだと思いました。

島田奈歩さんの落ち着いた朗読は、本作の温かいトーンをしっかり守りながら、登場人物の個性も丁寧に届けてくれます。通勤・通学のお供にも、休日のリラックスタイムにも、ぴったりの一作です。

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投稿日:2026年5月 / 著者:ひより

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