失われた貌 あらすじ

本屋大賞

『失われた貌』あらすじと感想|「このミス」1位・年末ランキング3冠の本格ミステリをAudibleナレーター広瀬竜一さんの朗読で聴く

著者:櫻田智也/ナレーター:広瀬竜一/出版社:新潮社(Audible版:Audible Studios)

こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、櫻田智也さんの『失われた貌』。
「このミステリーがすごい!2026年版」国内編で第1位を獲得するなど年末ランキングを席巻し、2026年本屋大賞にもノミネートされた本格ミステリです。
顔のない死体という古典的な謎から始まる緻密な物語に、休憩中に聴いていたつもりが、続きが気になって手が止まらない時間が続きました。
ナレーターの広瀬竜一さんの朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。

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失われた貌

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『失われた貌』のあらすじ

物語は、山奥の谷底で1体の男性の変死体が見つかったことから始まります。第一発見者は、不法投棄を目的に現場を訪れた男性。遺体は他殺であるだけでなく、顔を潰され、歯を抜かれ、髪を切られ、さらに手首から先を切り落とされるという、徹底して身元を隠蔽しようとした痕跡がありました。犯人はなぜ、ここまで執拗に被害者の身元を隠そうとしたのか——。

事件が報道されると、所轄署の生活安全課を一人の小学生が訪れ、こう問いかけます。「死体はぼくのお父さんじゃないんですか?」。彼の父は十年前に行方不明となり、すでに失踪宣告を受けていたのでした。刑事の日野たちが捜査を進めるなか、一見無関係に思われるいくつもの出来事が、物語の周辺で並行して起きていきます。バラバラに散らばっていた細い糸が、やがて一本の太い線へと絡み合い、最後に一つの真相を描き出していきます。

昆虫好きの青年・魞沢泉が活躍する連作短編シリーズで高い評価を受けてきた櫻田智也さんが、初めて挑んだノンシリーズの長編警察小説。緻密に張り巡らされた伏線が一気に回収される衝撃の結末は、「誰も読めない」と評され、大きな話題を呼びました。海外ミステリの巨匠コリン・デクスターの作品を思わせる、熟成の進んだウイスキーのような奥深い味わいの一冊です。

ひよりの感想

正直に言うと、「顔のない死体」という古典的な謎が、科学捜査の発達した現代を舞台にどう成立するのか、聴き始める前は少し疑問に思っていました。ですが、その心配はまったくの杞憂でした。捜査の過程で生まれる小さな違和感から、方針が変化し、質問の内容が変わり、次々と展開が動いていく構成に、休憩中に聴いていたのに手が止まらなくなる瞬間が何度もありました。

本作の魅力は、無関係に思われた出来事が、実は後の事件解決へと繋がっていく緻密な仕掛けにあります。バラバラだったピースが少しずつ組み合わさり、最後に一つの絵を描き出す瞬間の快感は格別で、「あの時のアレがヒントだったのか」という納得感に何度も唸らされました。これが初めての長編とは、とても信じられない構成力です。

ミステリとしての完成度の高さはもちろん、刑事たちが一人の人間として家族を持ち、日々の小さなことに頭を悩ませる姿が描かれているのも印象的でした。捜査を担う日野と、同期・羽幌との関係性にも味わいがあり、単なる謎解きにとどまらない人間ドラマとしても深く楽しめます。衝撃の結末に鳥肌が立つ、ミステリファンにこそ聴いてほしい一冊でした。

ながら読書ポイント

伏線が緻密に張り巡らされた作品なので、休憩中や移動中でも集中して聴ける時間帯がおすすめです。細部の描写が終盤の伏線回収に繋がるため、聴き逃さないよう落ち着いて聴くとより楽しめます。

著者・櫻田智也さんのプロフィール

生年 1977年生まれ
出身 北海道長万部町(函館市・北斗市で育つ/江別市在住)
出身大学 埼玉大学理学部卒業、同大学院修士課程修了
デビュー 2013年、「サーチライトと誘蛾灯」で第10回ミステリーズ!新人賞を受賞しデビュー
主な受賞歴 第74回日本推理作家協会賞・第21回本格ミステリ大賞(『蟬かえる』でW受賞)/「このミステリーがすごい!2026年版」国内編1位(『失われた貌』)
主な作品 『サーチライトと誘蛾灯』『蟬かえる』『六色の蛹』(魞沢泉シリーズ)/『失われた貌』

櫻田智也さんは、北海道出身・在住の推理作家です。2013年に、昆虫好きのとぼけた青年・魞沢泉(えりさわせん)を主人公とした「サーチライトと誘蛾灯」でミステリーズ!新人賞を受賞してデビュー。魞沢泉シリーズの2冊目『蟬かえる』では、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をW受賞するなど、素人探偵による連作短編の名手として高い評価を築いてきました。

『失われた貌』は、そんな櫻田さんが初めて挑んだノンシリーズの長編警察小説。これまでの作風とはまったく異なる本格警察ミステリでありながら、手練れのような語り口と怒濤の伏線回収を披露し、「このミステリーがすごい!2026年版」国内編1位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門1位など年末ランキングを席巻。3冠を達成し、10万部を突破する大ヒットとなりました。デクスターのモース警部やウィングフィールドのフロスト警部を思わせる、海外ミステリの薫り高い作風も本作の魅力です。

ナレーター・広瀬竜一さんのプロフィール

広瀬竜一さんは、Audibleで数多くのオーディオブック作品の朗読を手がけるナレーターです。特にミステリー・サスペンス作品での朗読に定評があり、知念実希人さんの作品など、緊張感のある物語を数多く担当してきた実力派です。

本作のように、複数の視点や出来事が並行して進み、緻密に張り巡らされた伏線が終盤で一気に回収される構成の作品において、聴き手を混乱させることなく物語の全体像を丁寧に描き出す朗読力が求められます。広瀬さんは、刑事たちの捜査の緊張感と、周辺で起こる出来事の一つひとつを落ち着いたトーンで読み分けており、約10時間45分という長編を最後まで飽きさせずに聴かせてくれます。衝撃の結末へと向かう緊迫感を、丁寧に盛り上げていく朗読です。

よくある質問

Q. 『失われた貌』はどんな作品ですか?

身元を隠された「顔のない死体」の謎を刑事たちが追う、櫻田智也さん初の長編警察ミステリです。「このミステリーがすごい!2026年版」国内編1位を獲得し、2026年本屋大賞にもノミネートされました。

Q. 魞沢泉シリーズを読んでいなくても楽しめますか?

はい。本作はシリーズとは独立したノンシリーズの長編で、作風も警察小説へと大きく変わっているため、櫻田作品が初めての方でも問題なく楽しめます。

Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?

緻密な伏線が張り巡らされているため、休憩中や移動中など集中して聴ける時間帯がおすすめです。細部が終盤の伏線回収に繋がる構成です。

Q. Audible版のナレーターは誰ですか?

広瀬竜一さんが朗読を担当しています。

まとめ

『失われた貌』は、顔のない死体の謎から始まり、怒濤の伏線回収で読者を圧倒する櫻田智也さん初の長編警察ミステリ。広瀬竜一さんの丁寧な朗読が、緻密に絡み合う糸が一本の線になっていく快感を存分に届けてくれます。ぜひ「ながら読書」で、その衝撃の結末を体験してみてください。

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