『硝子のマンション』あらすじと感想|染井為人の最新ホラーサスペンスをAudibleナレーター大久保多聞さんの朗読で聴く
著者:染井為人/ナレーター:大久保多聞/出版社:幻冬舎(Audible版:Audible Studios)
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硝子のマンション
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こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、染井為人さんの『硝子のマンション』。
『正体』『悪い夏』で知られる染井さんが手がけた、著者初のホラーサスペンスです。
舞台となるのは、一度も事故やトラブルが起きたことのない平穏なマンション。その内側で静かに広がっていく不穏な空気に、通勤中に聴いていたはずが、思わず歩く足を止めてしまう瞬間が何度もありました。
朗読を担当する大久保多聞さんの表現力とあわせて、じっくりレビューしていきます。
『硝子のマンション』のあらすじ
舞台は、駅まで徒歩7分、築30年のマンション「ベルドゥムール板橋」。これまで一度も事故やトラブルが起こったことのない、平穏な集合住宅です。家賃もリーズナブルで、住人たちも一見みんな幸せそうに見えます。けれどもその内側では、不倫、モラハラ、虐待——それぞれの部屋で抱えられた問題や不穏な出来事が、静かに、しかし着実に広がっていました。
物語の視点人物となるのは3人の女性。遠距離恋愛の彼との関係が進展しないことに悩む20代の小関凛、休職中の夫と幼い二人の子供を抱える30代の真野遥香、モラハラ夫に支配され続けている40代の岸本奈津子。ある日、遥香が誤って夫を死なせてしまったことをきっかけに、真下と真上の部屋に住む凛と奈津子がその事実を知ることになり、3人は死体遺棄という奇妙な形で結託していきます。
同じ出来事を三者それぞれの視点から描くことで、立場によって見え方がまったく変わってくる人間関係の複雑さが浮き彫りになっていく本作。緊張感たっぷりのクライムサスペンスでありながら、マンション管理人の目を欺こうと四苦八苦する場面にはどこかコミカルな空気も漂います。あなたの隣の部屋でも、同じようなことが起きているかもしれない——そんなひやりとした読後感を残す一冊です。
ひよりの感想
正直に言うと、冒頭の「今まで一度も事故が起こったことのないマンション」という穏やかな導入から、まさかここまで不穏な方向に転がっていくとは思っていませんでした。通勤中に聴いていたのですが、遥香が置かれた状況が明らかになる場面では、思わず足を止めて続きを聴き入ってしまいました。
3人の女性たちは、決して「悪人」として描かれているわけではありません。それぞれが抱える悩みや事情を丁寧に積み重ねていくことで、彼女たちの選択に対して「わかる」と共感してしまう瞬間が何度もありました。この「共感してしまう自分は悪魔なのか」という感覚こそ、本作最大の恐ろしさなのだと思います。
一方で、証拠隠滅のためにマンション管理人を相手に四苦八苦するシーンなど、緊迫した展開の中にふと差し込まれるコミカルさも印象的でした。緊張感とユーモアのバランスが絶妙で、最後まで一気に聴き通してしまう吸引力のある作品です。ラストに待つサプライズにも、思わず声が出てしまいました。
ながら読書ポイント
展開のテンポが速く、緊張感が途切れないので、通勤時間や休憩中の集中して聴ける時間帯にぴったりです。続きが気になって聴く手が止められなくなるので、時間に余裕があるときに聴くのがおすすめです。
著者・染井為人さんのプロフィール
| 生年 | 1983年生まれ |
| 出身 | 千葉県 |
| 前職 | 舞台演劇・ミュージカルプロデューサー |
| デビュー | 2017年『悪い夏』で第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、同作でデビュー |
| 主な作品 | 『悪い夏』『正体』『正義の申し子』『震える天秤』『黒い糸』『歌舞伎町ララバイ』『みずいらず』『硝子のマンション』など |
| 映像化 | デビュー作『悪い夏』が映画化。『正体』も映画化され、日本アカデミー賞で高く評価された |
染井為人さんは、舞台演劇やミュージカルのプロデューサーを経て、2017年に『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、小説家としてデビューしました。人間の欲望や社会の歪みをリアルに描く作風が持ち味で、『正体』『黒い糸』『震える天秤』など、読み始めたら止まらないと評される話題作を次々と発表しています。
『硝子のマンション』は、染井さんにとって初めてのホラーサスペンス作品。知人から「マンションが舞台の話が読みたい」と言われたことがきっかけで生まれたという本作は、書籍発売と同日にAudible版も配信されるなど、刊行前から大きな注目を集めていました。同じ出来事を複数の視点から描く手法を得意とする染井さんらしい、緊張感と人間ドラマが同居する一冊に仕上がっています。
ナレーター・大久保多聞さんのプロフィール
| 誕生日 | 7月3日 |
| 出身 | 大阪府 |
| 所属事務所 | 81プロデュース |
| 活動分野 | アニメ、吹き替え、ナレーション、ボイスオーバー、朗読など幅広く活動 |
大久保多聞さんは、アニメや吹き替え、TV番組のナレーションなど幅広い分野で活躍する声優です。Audibleでは染井為人さん作品をはじめ、多数のオーディオブックの朗読を担当しており、染井作品の朗読を数多く手がけてきた実績があります。
本作の収録にあたって大久保さん自身も「朗読している僕自身も思わず息を呑んだほどの緊迫感だった」とコメントしており、繊細な感情表現と臨場感のある朗読で、マンションという閉鎖空間に漂う不穏な空気感や、登場人物たちが抱える緊張感・恐怖をリアルに描き出しています。3人の女性それぞれの心の揺らぎを丁寧に読み分ける技術は、本作の緊張感を支える大きな魅力です。
よくある質問
Q. 『硝子のマンション』はどんな作品ですか?
平穏に見えるマンションの住人たちが抱える不倫・モラハラ・虐待などの問題が絡み合っていく、染井為人さん初のホラーサスペンスです。
Q. 幽霊や超常現象が出てくる話ですか?
いいえ。「ホラーサスペンス」と銘打たれていますが、幽霊や怪異が登場するタイプの話ではなく、人間関係の中に潜む不穏さを描いた作品です。
Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?
テンポの速い展開が続くため、通勤時間や休憩中など集中して聴ける時間帯におすすめです。続きが気になって手が止まりにくいので、時間に余裕があるときに聴くのがおすすめです。
Q. Audible版のナレーターは誰ですか?
声優の大久保多聞さんが朗読を担当しています。
まとめ
『硝子のマンション』は、平穏な日常の裏に潜む人間関係の不穏さを描き出す、染井為人さん初のホラーサスペンス。共感と恐怖が同時に押し寄せる不思議な読後感と、大久保多聞さんの緊迫感あふれる朗読が組み合わさった、聴き応えのある一冊です。ぜひ「ながら読書」でその緊張感を味わってみてください。


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