BUTTER あらすじ

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『BUTTER』あらすじと感想|世界120万部突破の社会派長編をAudibleナレーター松井暁波さんの朗読で聴く

著者:柚木麻子/ナレーター:松井暁波/出版社:新潮社(Audible版:Audible Studios)

こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、柚木麻子さんの『BUTTER』。
実在の事件をモチーフに、女性の欲望とルッキズムを鋭く描き、世界120万部を突破した話題の社会派長編です。
濃厚なバターの香りが漂ってきそうな料理描写と、じわじわと絡め取られていく人間関係に、休憩中に聴いていたつもりが、続きが気になって手が止まらない時間が続きました。
ナレーターの松井暁波さんの朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。

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BUTTER

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『BUTTER』のあらすじ

結婚をちらつかせて男性たちから金銭をだまし取り、複数人を殺害した容疑で拘留中の梶井真奈子、通称カジマナ。世間を騒がせているのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動でした。週刊誌記者の里佳は、独占インタビューを狙うもなかなか相手にされません。親友の伶子から「食の話題で釣ればいい」とアドバイスされ、高級バターの話を手紙に書いたところ、ついに面会の許可が下ります。

拘置所で対面した梶井は、里佳に奇妙な「課題」を出します。自分が指定した食材を体験し、その感想を報告すること。エシレバター、カルピスバター、濃厚なバター醤油ごはん——次々と出される課題をこなすうち、欲望と快楽に忠実な梶井の言葉に、里佳は少しずつ翻弄され、絡め取られていきます。

首都圏連続不審死事件をモチーフにした本作は、2017年の刊行以来、世界35ヶ国以上で翻訳され、世界累計120万部を突破。2024年のイギリス版はWaterstonesが選ぶ「Book of the Year 2024」やThe British Book Awardsを受賞するなど、国境を越えて高い評価を受けています。

ひよりの感想

正直に言うと、実在の事件をモチーフにしていると知って、聴き始める前は少し身構えていました。ですが実際に聴いてみると、事件そのものよりも、梶井という人物の圧倒的な自己肯定感と、それに惹き込まれていく里佳の心理の変化を描くことに主眼が置かれていて、休憩中に聴いていたのに気づけば予定の時間をとっくに過ぎても聴き続けてしまう日が何度もありました。

本作最大の魅力は、なんといっても食事の描写です。バターをたっぷり乗せたごはんや、濃厚な塩ラーメンなど、聴いているだけでお腹が空いてくるほどの臨場感があります。それと同時に、食欲と欲望がこれほど近い距離にあるものかと、聴きながら何度もぞっとさせられました。

里佳が梶井に取材する立場から、いつの間にか価値観そのものを揺さぶられていく展開は、聴いているこちらの心も一緒に試されているような感覚になります。「この人の言っていることは間違っているのか、正しいのか」——読み終えて(聴き終えて)もすぐには答えの出ない問いを、たくさん抱えることになる一冊でした。ルッキズムや女性の生き方について、聴きながら自分自身の価値観を見つめ直したくなる作品です。

ながら読書ポイント

600ページ近い長編ですが、章ごとの区切りがはっきりしているため、休憩中や移動中に少しずつ聴き進めやすい作品です。料理の描写が豊富なので、小腹が空いた時間帯に聴くのはご注意を。

著者・柚木麻子さんのプロフィール

生年 1981年生まれ
出身 東京都
デビュー 2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞。2010年、同作を含む『終点のあの子』でデビュー
主な受賞歴 第28回山本周五郎賞・第3回高校生直木賞(『ナイルパーチの女子会』)/第7回野間出版文化賞(『BUTTER』)
海外での評価 『BUTTER』英国版がWaterstones Book of the Year 2024、The British Book Awards 2025(Debut Fiction部門)を受賞。世界35ヶ国以上で翻訳、累計120万部突破
主な作品 『終点のあの子』「ランチのアッコちゃん」シリーズ『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『ナイルパーチの女子会』『BUTTER』『マジカルグランマ』『あいにくあんたのためじゃない』など

柚木麻子さんは、2010年に『終点のあの子』でデビューし、2015年に『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞した東京都出身の作家です。『本屋さんのダイアナ』が本屋大賞4位を獲得するなど、幅広い層から支持を集める作家として活躍してきました。

『BUTTER』は、柚木さんにとって国際的なブレイクスルーとなった代表作。実際に料理教室で取材を重ねながら執筆したという本作は、直木賞候補にも選ばれたほか、2024年にイギリスで刊行されると大きな話題を呼び、複数の文学賞を受賞。2026年には版元が新潮社から河出書房新社へと移り、柚木さん自身が「差別や排除に対しどう立ち向かうべきか」という思いを込めてこの決断をしたことも明かされています。女性の欲望や社会の抑圧を鋭く見つめる筆致は、柚木さんならではの持ち味です。

ナレーター・松井暁波さんのプロフィール

生年月日 1991年9月15日
出身 東京都
所属事務所 ケンユウオフィス(日本女子大学理学部数物科学科卒)
その他 声優・鷹森淑乃さんを母に持つ

松井暁波さんは、当ブログでも『夜明けのすべて』でおなじみのナレーター。『呪術廻戦』や『艦隊これくしょん』などに出演する女性声優です。日本女子大学で数学を専攻していたという理系の一面も持ち、繊細さと芯の強さを併せ持った演技が持ち味です。

本作のように、里佳が少しずつ価値観を揺さぶられていく心理の機微が丁寧に描かれる作品において、その繊細な変化を丁寧に読み進める表現力が光ります。梶井の圧倒的な自己肯定感と、それに翻弄されていく里佳の戸惑い、両方の温度差を巧みに読み分け、聴き手を物語の世界へと引き込んでくれます。

よくある質問

Q. 『BUTTER』はどんな作品ですか?

結婚詐欺・殺人容疑で拘留中の女性・梶井真奈子と、彼女を取材する週刊誌記者・里佳の奇妙な関係を描いた柚木麻子さんの社会派長編小説です。実在の事件をモチーフにしています。

Q. 実在の事件を扱った作品ですが、事件の詳細な解説がメインですか?

いいえ。事件そのものよりも、梶井という人物の価値観と、それに影響されていく里佳の心理描写が物語の中心です。ルッキズムや女性の生き方についての問いかけが色濃い作品です。

Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?

長編ですが章ごとの区切りがはっきりしているため、休憩中や移動中に少しずつ聴き進めやすい作品です。

Q. Audible版のナレーターは誰ですか?

声優の松井暁波さんが朗読を担当しています。

まとめ

『BUTTER』は、濃厚な食の描写と鋭い人間観察で、女性の欲望とルッキズムを問い直す柚木麻子さんの世界的ベストセラー。松井暁波さんの丁寧な朗読が、里佳の揺れ動く心理を繊細に届けてくれます。ぜひ「ながら読書」で、その濃密な読書体験を味わってみてください。

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