『月収』あらすじと感想|『三千円の使いかた』の著者が描くお金の人間ドラマをAudibleナレーター沢井真知さんの朗読で聴く
著者:原田ひ香/ナレーター:沢井真知/出版社:中央公論新社(Audible版:Audible Studios)
こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、原田ひ香さんの『月収』。
ドラマ化もされた大ベストセラー『三千円の使いかた』に連なる、お金をテーマにした人間ドラマです。
月収4万円から300万円まで、まったく異なる暮らしを送る6人の女性たちの物語に、休憩中に聴いていたつもりが、自分の「お金と幸せ」について考え込んでしまう時間が続きました。
ナレーターの沢井真知さんの朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。
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月収
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『月収』のあらすじ
「月にいくらあったら幸せ?」——本作は、月収の額がまったく異なる6人の女性を主人公にした連作短編集です。年金暮らしで月収4万円の66歳から、株や投資信託で月収300万円ある52歳まで。年齢も職業も境遇も異なる彼女たちが、それぞれ「月収」という切り口から、どんな生活を送り、何を思い、何に悩むのかがリアルに描かれていきます。
離婚して夫に家を取られ、少ない年金で暮らす66歳の乙部響子。デビュー作だけがヒットし、その後が続かず派遣社員として働きながら不動産投資を始める31歳の小説家・大島成美。生活費を切り詰めて投資に励む29歳の工場勤務の女性。パパ活で月に100万円を稼ぐ26歳の瑠璃華。そして、さまざまな物語に絡んでくる月収300万円の女性実業家・鈴木菊子——。各話は独立していながら、前の話に登場した人物が次の話で主人公になる連作形式でゆるやかに繋がっていきます。
本作は、『婦人公論』での1年間の連載をまとめたもの。ドラマ化された『三千円の使いかた』『財布は踊る』に続く、原田ひ香さんの「お金」をテーマにした3冊目の小説です。お金・家・生活・幸せのあり方が、多様な女性たちの姿を通して見えてくる一冊です。
ひよりの感想
正直に言うと、「月収」というタイトルと表紙から、最初は自己啓発本やマネー本のようなものを想像していました。ですが実際に聴いてみると、これはれっきとした小説。それぞれの女性たちの生活や心情がリアルに描かれていて、休憩中に聴いていたのに、気づけば自分自身のお金との付き合い方について考え込んでしまう瞬間が何度もありました。
特に印象的だったのは、パパ活で稼ぐ瑠璃華のエピソード。「30万円払うと、おじさんは女の子の生活を全部支配した気になってしまう」という彼女のシビアな金銭感覚には、お金と人間関係の生々しい距離感が凝縮されていて、思わずうなってしまいました。共感できる人物もいれば、まったく響かない人物もいるのですが、その振れ幅こそが「お金と幸せ」という正解のないテーマの奥深さを表しているように感じました。
原田ひ香さんの筆致は、ユーモアと温かみがありながらも非常にリアルで、登場人物たちの心理や生活描写には思わずうなずいてしまう説得力があります。読後には「では、自分にとって月にいくらあれば本当の幸せなんだろう?」と、自らの価値観を静かに問い直したくなりました。お金に振り回されそうになったときや、お金との付き合い方を考えたいときに、大切なヒントをくれる作品です。
ながら読書ポイント
6人の女性の物語がそれぞれ独立した連作短編集なので、休憩中や移動中に1話ずつ聴き進めやすい構成です。サクサク聴き進められる読みやすさも原田ひ香さん作品の魅力です。
著者・原田ひ香さんのプロフィール
| 生年 | 1970年生まれ |
| 出身 | 神奈川県 |
| デビュー | 2005年『リトルプリンセス2号』でNHK創作ラジオドラマ大賞を受賞。2007年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー |
| 代表作 | 『三千円の使いかた』(文庫と合わせ累計100万部に迫るベストセラー・連続ドラマ化) |
| 主な作品 | 『三千円の使いかた』『ランチ酒』シリーズ『三人屋』シリーズ『一橋桐子(76)の犯罪日記』『古本食堂』『図書館のお夜食』『財布は踊る』『月収』など |
原田ひ香さんは、神奈川県出身の作家です。2005年にラジオドラマ脚本の懸賞公募で最優秀作を受賞してプロットライターとして活動した後、2007年に「はじまらないティータイム」ですばる文学賞を受賞して小説家デビューしました。2018年刊行の『三千円の使いかた』は、文庫版と合わせ累計100万部に迫る大ベストセラーとなり、連続ドラマ化もされています。
原田さんの作品は、お金、毎日の食事、ひとりで過ごす夜、家族や仕事との距離感といった、暮らしの中にある切実さを丁寧に描く点に大きな特徴があります。派手な出来事ではないのに「ああ、この気持ち知っている」と思わせる繊細な描写が持ち味です。『月収』は、『三千円の使いかた』『財布は踊る』に続く「お金」をテーマにした作品で、普通に暮らす人々の中にある寂しさや強さを、静かに物語へと変えていく原田さんならではの一冊です。
ナレーター・沢井真知さんのプロフィール
沢井真知さんは、Audibleでオーディオブックのナレーションを手がける朗読者です。当ブログでも『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』などでおなじみで、複数の登場人物の心情を丁寧に読み分ける表現力が持ち味です。
本作のように、月収も年齢も境遇もまったく異なる6人の女性が主人公を務める連作短編集において、それぞれの人物の個性や、お金にまつわる切実な感情を演じ分ける力が求められます。沢井さんは、年金暮らしの高齢女性から、パパ活で稼ぐ若い女性、そして女性実業家まで、多様な人物の声を自然に描き分けており、「お金と幸せ」という普遍的なテーマを、聴き手が自分事として受け止められるよう丁寧に届けてくれます。
よくある質問
Q. 『月収』はどんな作品ですか?
月収4万円から300万円まで、まったく異なる暮らしを送る6人の女性を主人公に、「お金と幸せ」をテーマに描いた原田ひ香さんの連作短編集です。
Q. マネー本や自己啓発本ですか?
いいえ。タイトルや表紙からマネー本を想像されがちですが、れっきとした小説です。お金を切り口にした人間ドラマとして楽しめます。
Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?
6人の女性の物語がそれぞれ独立した連作短編集なので、休憩中や移動中に1話ずつ聴き進めやすい作品です。
Q. Audible版のナレーターは誰ですか?
沢井真知さんが朗読を担当しています。
まとめ
『月収』は、6人の女性の暮らしを通して「お金と幸せ」のかたちを問いかける、原田ひ香さんならではのお金の人間ドラマ。沢井真知さんの丁寧な朗読が、それぞれの女性たちの切実な思いを届けてくれます。ぜひ「ながら読書」で、あなたにとっての「幸せな月収」を考えてみてください。


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