『ありか』あらすじと感想|瀬尾まいこ渾身の最新長編をAudibleナレーター石川由依さんの朗読で聴く
著者:瀬尾まいこ/ナレーター:石川由依/出版社:水鈴社(Audible版:Audible Studios)
こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、瀬尾まいこさんの『ありか』。
「これまでの私の人生を全部込めた」と著者自身が語る、渾身の最新長編小説です。
シングルマザーの美空と娘のひかり、二人を取り巻く1年間の物語に、休憩中に聴いていたつもりが、気づけば胸があたたかくなる場面がいくつもありました。
ナレーターの石川由依さんの朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。
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ありか
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『ありか』のあらすじ
化粧品工場でパートをしながら、5歳になる娘・ひかりを育てる26歳のシングルマザー・美空。自身の親も離婚し、美空自身も夫の奏多と離婚しているという背景を抱えながら、母との関係に悩みつつも、ひかりとの日々を大切に過ごしています。
離婚した後も何かと美空とひかりの世話を焼こうとするのが、奏多の弟であり、同性愛者である颯斗です。血の繋がりや婚姻関係という枠組みを超えて、美空とひかりの味方であり続けようとする颯斗や、保育園のママ友・三池里見、保育園の先生・神田加奈といった人々との関わりを通して、美空とひかりの1年間の歩みが丁寧に描かれていきます。
「子育てをしながら自分が受けた恩を思い知って、親に感謝していくのだと思っていた。それが親になった途端、さっぱりわからなくなった」——本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』や、日本アカデミー賞優秀作品賞原作『夜明けのすべて』などを手がけてきた瀬尾まいこさんが、「これまでの私の人生を全部込めた」と語る渾身の一冊。家族とは何か、幸せとはどこにあるのかを問いかける物語です。
ひよりの感想
正直に言うと、序盤は登場人物たちの関係性を掴むのに少し時間がかかりました。血の繋がりのない颯斗が、なぜここまで美空とひかりに尽くすのか——最初は「なぜ」と戸惑う場面もあったのですが、読み進める(聴き進める)うちに、家族という枠組みにとらわれない優しさのかたちが、じんわりと胸に沁みてくるように感じました。
本作には、美空とひかりを否定的に見る人物がほとんど登場しません。母との関係には葛藤がありながらも、颯斗をはじめ、ママ友や保育園の先生など、二人の味方でいてくれる人たちの存在が丁寧に描かれていて、聴き終えたあとには、自分の周りにいる「味方」の存在にも改めて感謝したくなるような温かい気持ちになりました。
「ひかりはわたしを悩ませ不安にさせ、そしてそれ以上に強くしてくれる」という美空の言葉には、子育てをする人なら誰しも思い当たる節があるのではないでしょうか。過去は変えられなくても、今ここにいる人たちを大切にすることはできる——瀬尾さんらしい、静かであたたかいメッセージが心に残る一冊でした。
ながら読書ポイント
美空とひかりの1年間を追う構成なので、休憩中や移動中に区切りよく聴き進めやすい作品です。家族や子育てについて考えたくなる内容なので、静かな時間に聴くのもおすすめです。
著者・瀬尾まいこさんのプロフィール
| 生年 | 1974年生まれ |
| 出身 | 大阪府 |
| 出身大学 | 大谷女子大学国文科 |
| 主な受賞歴 | 第26回吉川英治文学新人賞(『幸福な食卓』)/第24回坪田譲治文学賞(『戸村飯店 青春100連発』)/第16回本屋大賞(『そして、バトンは渡された』) |
| 主な作品 | 『幸福な食卓』『図書館の神様』『戸村飯店 青春100連発』『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』『ありか』など |
| 映像化 | 『夜明けのすべて』がベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待・日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞 |
瀬尾まいこさんは、2002年のデビュー以来、人々のかけがえのない関係性を紡ぎ続けてきた大阪府出身の作家です。2019年に『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞し、『夜明けのすべて』は映画化されベルリン国際映画祭にも正式招待されるなど、着実に評価を高めてきました。
『ありか』は、瀬尾さんが「これまでの私の人生を全部込めたと言い切れる作品」と語る渾身の長編。刊行記念インタビューでは、これまで娘に読んでほしいと思う自著がなかったものの、本作は初めて「娘に残せるもの」ができたと感じていると明かしています。自身の気持ちからズレたことは書いていないという瀬尾さんの言葉通り、著者自身の実感が色濃く滲む一冊です。
ナレーター・石川由依さんのプロフィール
| 生年月日 | 1989年5月30日 |
| 出身 | 兵庫県 |
| 所属事務所 | mitt management |
| 経歴 | 幼少期から舞台・ミュージカルで主演を数多く務め、2007年にアニメ『ヒロイック・エイジ』でデビュー |
石川由依さんは、『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマン役、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公ヴァイオレット役で知られる実力派女性声優です。両作品で声優アワードの主演・助演女優賞をそれぞれ受賞するなど、感情の機微を丁寧にすくい取る演技力に定評があります。
「静」で物語を進められる稀有な声優と評される石川さんは、大声を張らずとも語尾の温度や呼吸のリズムで人物の深層をそっと開示する表現力が持ち味。本作のように、美空とひかりの日常に流れる静かな感情の機微を丁寧に描く物語との相性は抜群で、家族という枠組みを超えた優しさを、聴き手の心にじんわりと届けてくれます。
よくある質問
Q. 『ありか』はどんな作品ですか?
シングルマザーの美空と娘・ひかり、そして血の繋がりを超えて二人を支える人々との1年間を描いた瀬尾まいこさんの長編小説です。
Q. 『夜明けのすべて』や『そして、バトンは渡された』を読んでいなくても楽しめますか?
はい、独立した物語なので問題なく楽しめます。人々のかけがえのない関係性を描く瀬尾さんらしいテーマは本作にも共通しています。
Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?
美空とひかりの1年間を追う構成のため区切りよく聴き進められますが、家族について考えさせられる内容なので、静かな時間に聴くのもおすすめです。
Q. Audible版のナレーターは誰ですか?
声優の石川由依さんが朗読を担当しています。
まとめ
『ありか』は、血の繋がりや婚姻関係を超えたところにある家族の優しさを描く、瀬尾まいこさん渾身の最新長編。石川由依さんの静かで丁寧な朗読が、美空とひかりの日々をあたたかく届けてくれます。ぜひ「ながら読書」で、その優しさに触れてみてください。


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