爆弾

小説・フィクション

「人質は1400万人。東京全域が、爆弾の射程距離に入った」
ちょっとした傷害事件で連行された風采のあがらない中年男——その男が取り調べ中に「爆発がある」と予言し、それは的中した。「このミステリーがすごい!2023年版」「ミステリが読みたい!2023年版」の同時2冠、さらに直木賞候補・本屋大賞ノミネートまで制した呉勝浩さんのノンストップ・ミステリー大傑作が、Audibleで星祐樹さんと品田美穂さんの二人体制で完全再現されます。一気聴き必至のノンストップ体験を、今すぐ始めてください 🎧💣🔥

📚 本の基本情報

  • タイトル:爆弾
  • 著者:呉勝浩
  • 出版社:講談社(単行本)/講談社文庫
  • 単行本発売:2022年9月27日
  • ナレーター:星祐樹(刑事・等々力パート等)、品田美穂(女性キャラクター等)
  • ジャンル:ミステリー・ノンストップサスペンス
  • 主な受賞・実績:このミステリーがすごい!2023年版国内篇1位・ミステリが読みたい!2023年版国内篇1位・第167回直木賞候補・第20回本屋大賞ノミネート
  • 映像化:2025年10月31日映画公開(山田裕貴・佐藤二朗主演)
  • 個人評価:★★★★★(5.0 / 5.0)

タイトル「爆弾」と「スズキタゴサク」

シンプルにして最もインパクトある一語——「爆弾」。本書はそのタイトル通り、読み始めた瞬間から爆発的な勢いで最後まで止まらないノンストップ・ミステリーです。

そして本書を語る上で絶対に欠かせないのが、「スズキタゴサク」という人物。この四文字は、本書を読んだすべての人の記憶に刻み込まれます。

「自分には霊感がある。十時ぴったりに秋葉原で爆発がある」

この男の正体は何者か。目的は何か。なぜ予告するのか——。本書を読み終えた後、その問いへの答えは予想をはるかに超えたところにあります。

あらすじ

東京・野方署の刑事等々力功(とどろき・いさお)は、酒屋の自動販売機を蹴り、店員を殴ったとして連行されてきた男の取り調べを担当することになります。

男の名前はスズキタゴサク——いかにも与太者らしいふざけた名前。外見は全くもってパッとしない中年男です。

しかし取り調べ中、男はこともなげに告げます。

「自分には霊感がある。十時ぴったりに秋葉原で爆発がある」

たかが酔っ払いのたわごと——と思った瞬間、秋葉原の廃ビルが爆発しました

「まさか、この男、本物か?」

警察が狼狽する中、スズキはあっけらかんとこう告げます。

「ここから三度、次は一時間後に爆発します」

合計四度の爆発予告。制限時間はそれぞれ一時間。そして男が提示するのは難解なクイズという形のヒント——その謎を解けなければ、爆発を止めることはできない。

さらに男は、刑事の等々力に対し、四年前に不祥事を責められ自殺に追い込まれた別の刑事の名を挙げます。なぜ、スズキはその名を知っているのか?

物語は取調室という極めて狭い空間を主舞台にしながら、東京全体を巻き込む巨大な事件へと広がっていきます。等々力刑事、捜査一課のエース・長谷部、沙良、明日香——それぞれの登場人物が「スズキタゴサク」という存在と接触する中で、自らの本性を剥き出しにされていく。

人質は1400万人。正義は、守れるのか——

本書の見どころ

① 取調室という密室での「頭脳戦」の圧倒的な面白さ

本書の最大の驚きは、ほぼ全編が取調室という極めて狭い空間での出来事として描かれているにもかかわらず、全くテンポが落ちないどころか、読む手が止まらないことです。

謎の男・スズキタゴサクと、刑事・等々力との心理戦。スズキが提示するクイズ(ヒント)の意味を読み解こうとする警察組織の苦闘——「取調室という小さな空間でのやりとりをずーっと描いているのに、これだけ面白いってどうかしてます」という読者の声は、決して大げさではありません。

② スズキタゴサクという「前代未聞の悪役」

本書の最大の魅力にして核心が、スズキタゴサクというキャラクターです。風采のあがらない中年男。ふざけた名前。しかし、圧倒的な知性と不思議な存在感——「一番インパクトが強い登場人物」「へ理屈哲学をこねるタゴサク」という評価が示すように、このキャラクターは他に類を見ない独創性を持ちます。

彼の犯行動機と、物語の最後に明かされる「真相」——ここを読んだとき、多くの読者が「こういうことだったのか」と戦慄するとともに、深く考え込まされます。

③ 登場人物の「本性」が暴かれる群像劇としての深み

本書のもう一つの読みどころが、スズキという「イレギュラー」と接触した人物たちが、その本性を引き出されていく過程です。

ホームレスより子どもの命の方が大事だと心から思ってしまった清宮。見ず知らずの怪我人より、親しかった矢吹の治療を優先してくれと願った沙良。娘の未来のためにスズキに罪を預けてしまった明日香——「どれだけきれいごとをうたってみても、人間の本性はどこまでいっても自分本位」という残酷な事実を、本書は鋭く突きつけます。

④ 「七十五点の男」という言葉の意外な感動

本書で最も「泣ける」場面は、意外なところにあります。鶴久刑事が自分自身を「おれはせいぜい七十五点の男」と規定しながら、それでも最後まで職務を全うしようとする場面——。

「おれはハセコーにはなれない。長谷部や等々力の捜査能力はもっていない。世渡りに汲々とする中間管理職で、他人より娘が大事。せいぜい七十五点の男。だが七十五点を、守らない理由はない」

嫌味が感動に化ける——この場面は本書の中で最も読者の心を打つと言われています。

⑤ 映画化(2025年)の前に原作で体験するべき

2025年10月31日に山田裕貴主演・佐藤二朗がスズキタゴサク役で映画が公開されています。映像化された後だからこそ、Audibleで原作の「活字(耳)でしか味わえない感覚」を楽しんでほしい作品です。

著者・呉勝浩さんについて

『爆弾』を書いた呉勝浩(ご・かつひろ)さんは、現在の日本ミステリー界を最前線で牽引する作家の一人です。

呉勝浩さんのプロフィール

  • 生年月日:1981年9月14日
  • 出身地:青森県八戸市
  • 学歴:八戸市立湊小学校・湊中学校、八戸高校を経て大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業
  • 国籍:韓国(在日韓国人3世)
  • 現在地:大阪府大阪市
  • デビュー:2015年『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞受賞

在日韓国人3世として青森県八戸市に生まれた呉さん。大阪芸術大学映像学科へ進学し、卒業後は就職活動を一切せずにアルバイトで生活しながら執筆を続けていたといいます。「ひどい不良アルバイターだった」と本人が振り返るほどの、苦しい下積み時代を経てのデビューでした。

2015年、在日外国人作家として異例の江戸川乱歩賞受賞で鮮烈なデビュー。以来、毎作品で新たな受賞・候補入りを重ね、2022年の本作『爆弾』で完全にミステリー界の頂点へと登り詰めました。

呉勝浩さんの主な作品と受賞歴

  • 📖 『道徳の時間』(2015年)— 第61回江戸川乱歩賞受賞・デビュー作
  • 📖 『白い衝動』(2018年)— 第20回大藪春彦賞受賞
  • 📖 『スワン』(2020年)— 第41回吉川英治文学新人賞受賞・第73回日本推理作家協会賞受賞・第162回直木賞候補
  • 📖 『おれたちの歌をうたえ』(2021年)— 第165回直木賞候補
  • 📖 『爆弾』(2022年)— このミス・ミステリが読みたい!同時2冠・第167回直木賞候補・第20回本屋大賞ノミネート
  • 📖 『法廷占拠 爆弾2』(2024年)— 爆弾シリーズ第2作

呉さんがデビュー以来一貫して描いてきたのは、「事件の解明にとどまらず、人間の深奥を鋭く見据え、本性を引きずりだすようなミステリー」です。どの作品も、読み終わった後に「正しさとは何か」という問いを突きつけてくる——それが呉勝浩という作家の真骨頂です。

ナレーター・星祐樹さんについて

星祐樹(ほし・ゆうき)さんは、東京都町田市出身の声優・舞台俳優です。

星祐樹さんのプロフィール

  • 生年月日:1984年12月13日
  • 出身地:東京都町田市
  • 所属:ケンユウオフィス
  • 血液型:A型
  • 出身:日本ナレーション演技研究所、アミューズメントメディア総合学院
  • 特記:父はコントラバス奏者の星秀樹。趣味は珈琲を淹れること・岩盤浴・コントラバス演奏(父の影響か)
  • 特技:朗読劇の脚本執筆・スマートフォン知識

中学時代はゲームプログラマーを目指し、その後は脚本家・器楽奏者を志すなど夢が変遷。高校時代にゲーム『Memories Off 2nd』をプレイしたことをきっかけに声優を目指すことを決意したという経歴の持ち主です。声優になりたいと両親に告げ、説得の末に認めてもらったというエピソードも。オフィス薫を経て現在のケンユウオフィスに所属しています。

星祐樹さんの主な代表作

  • 🎙 アニメ『スーパーカブ』(2021年)— 教頭先生役
  • 🎙 アニメ『進撃の巨人』(2022〜2023年)
  • 🎙 アニメ『名探偵コナン』(2024年〜)
  • 🎙 アニメ『ヴィジランテ –僕のヒーローアカデミア ILLEGALS–』(2026年)— 十日夏ラプト役
  • 🎙 映画『バブル』(2022年)
  • 🎙 洋画吹き替え『愛の不時着』— チョン社長役
  • 🎙 洋画吹き替え『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
  • 🎙 Audible朗読:『爆弾』ほか

本作での星さんの朗読の最大の魅力は、等々力刑事という「普通の職業人」の焦りと真摯さを声で完璧に体現しているところです。凄腕でもなく特別でもない、「普通の刑事」がスズキという異常な存在に翻弄されながらも職務を全うしようとするリアリティが、星さんの抑制の効いた演技によって鮮明に伝わってきます。

ナレーター・品田美穂さんについて

品田美穂(しなだ・みほ)さんは、新潟県出身の実力派女性声優です。

品田美穂さんのプロフィール

  • 生年月日:1月23日
  • 出身地:新潟県
  • 所属:東京俳優生活協同組合(俳協)
  • 血液型:B型
  • 身長:166cm
  • 学歴:青山学院女子短期大学卒業
  • 出身:talk back(以前はケンユウオフィスに所属)
  • 趣味:酒場放浪(「長所:酒が好き、短所:酒が好き」という味わい深い自己紹介)
  • 特技:野球スコアブックをつけること

趣味欄に「酒場放浪」、長所・短所ともに「酒が好き」と書いてしまうそのユーモアある自己紹介が印象的な品田さんですが、キャリアはとびきり本格派。洋画の大作吹き替えから、アニメ、ドキュメンタリー、オーディオブックまで幅広く活躍する実力派声優です。

品田美穂さんの主な代表作

  • 🎙 映画吹き替え『ピッチ・パーフェクト1・2』— ファット・エイミー役
  • 🎙 映画吹き替え『ゲーム・オブ・スローンズ』
  • 🎙 映画吹き替え『インサイド・ヘッド』(2015年)— 記憶消し女役
  • 🎙 映画吹き替え『インサイド・ヘッド2』(2024年)— 記憶消しポーラ役
  • 🎙 映画吹き替え『デューン 砂の惑星PART2』(2024年)
  • 🎙 アニメ『宝石商リチャード氏の謎鑑定』(2020年)— 稲村智恵子役
  • 🎙 アニメ『SHIROBAKO』(2014年)
  • 🎙 Audible朗読:『爆弾』ほか

『インサイド・ヘッド』で同じキャラクター(記憶消し女→記憶消しポーラ)を2015年から2024年まで約10年間継続して担当するというエピソードが、品田さんへの信頼の厚さを示しています。本作では女性登場人物のパートを担当し、沙良や明日香など、スズキの問いかけによって本性を引き出される女性キャラクターたちの揺れ動く感情を、豊かな声域と繊細な表現力で体現しています。

二人の朗読が生む「場の緊張感」

本作では星祐樹さんと品田美穂さんが登場人物の性別・立場によってパートを分担しています。取調室という密室での緊迫した場面、東京全体に広がる爆弾騒動、それぞれの登場人物が追い詰められていく群像劇——この複雑な構造を二人の声優が的確に演じ分けることで、活字以上の「場の緊張感」が生まれます。

Audibleで聴くときのポイント

  • 🎧 速度は1.0〜1.3倍がおすすめ——テンポよく謎解きを楽しむために
  • 🎧 一気聴き推奨——途中で止めると続きが気になって仕方なくなる作品
  • 🎧 「スズキタゴサクの正体」に関するヒントを聴き逃さないよう集中して
  • 🎧 映画公開後だからこそ、原作ならではの描写の濃さを楽しんで
  • 🎧 続編『法廷占拠 爆弾2』もあわせてチェックを

聴いた感想

① 「取調室だけでこんなに面白いの?」の驚き

聴き始めて最初に驚いたのは、舞台のほぼ全てが取調室という密室なのに全く飽きないことでした。スズキがクイズを出す、刑事たちが焦りながら解こうとする、爆発まであと○○分——この繰り返しのように見える構造が、なぜこれほど面白いのか。答えはスズキタゴサクというキャラクターの圧倒的な異質性にあります。この男、一体何者なんだ?という問いから、最後まで目が——いや、耳が離せません。

② 「七十五点を守らない理由はない」で涙が出た

本書で最も感動した場面は、ミステリーの謎解きでも爆弾解除でもなく、鶴久刑事の「七十五点の男」の独白でした。特別な才能もなく、自分より娘が大事で、世渡りに精一杯——でもそれでも、七十五点を守り抜く。星さんの朗読でこの台詞を聴いた瞬間、思わず涙が出てしまいました。池井戸作品の「七十五点の普通の人間が最後まで諦めない」という感動と似た感覚がありました。

③ 二人の声優の使い分けが緊張感を高める

星さんが担当する等々力・長谷部・清宮のパートと、品田さんが担当する沙良・明日香などのパートが交互に展開する構成が、それぞれのキャラクターの温度を鮮明に際立てています。星さんの「追い詰められた男の焦り」と品田さんの「追い詰められた女の葛藤」——この対比が物語の深みを倍増させてくれます。

④ スズキタゴサクの「真相」は絶対に予想できない

「このミス1位」の実力を改めて実感したのは、ラストでした。スズキタゴサクの正体と犯行動機が明かされる瞬間——「こういうことだったのか」という戦慄と、「なぜ、そこまで」という複雑な感情が同時に押し寄せてきます。ミステリーの驚きと、人間ドラマとしての重みが完全に融合した、見事な着地点でした。

項目別の評価

項目 評価 コメント
ノンストップ感 ★★★★★ 文字通り手(耳)が止まらない
スズキタゴサクの独創性 ★★★★★ 前代未聞のキャラクター
群像劇の深み ★★★★★ 人間の本性を暴く鋭さ
朗読(星祐樹) ★★★★★ 等々力の焦りと真摯さが声に宿る
朗読(品田美穂) ★★★★★ 女性キャラの揺れ動く感情が豊か

🎯 こんな方におすすめ

  • ✓ 「このミス」1位作品を制覇したい方
  • ✓ ノンストップ・ミステリーが好きな方
  • ✓ 映画を観た方(原作でさらに深く楽しめる)
  • ✓ 映画を観ていない方(原作からぜひ)
  • ✓ 呉勝浩さんの作品を初めて読む方
  • ✓ 「悪役が魅力的なミステリー」が好きな方
  • ✓ 星祐樹さん・品田美穂さんのファンの方
  • ✓ 続編『法廷占拠 爆弾2』と合わせて聴きたい方

⚠ 注意したい方

  • 爽快なカタルシスを求める方には、ラストが少し複雑な余韻を残します(それが本書の魅力ですが)
  • 血腥い描写はほとんどなく、基本的には心理サスペンスです

まとめ|「このミス1位」の実力を、耳で体験せよ

『爆弾』は、「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」の同時2冠・直木賞候補・本屋大賞ノミネートという圧倒的な評価に完全に値する、呉勝浩の最高傑作でした。

取調室という密室で展開する頭脳戦、スズキタゴサクという前代未聞の悪役、そして人間の本性を暴く群像劇——「ノンストップ・ミステリー」という言葉の意味を全力で体現した一作です。

星祐樹さんと品田美穂さんの二人体制による朗読は、取調室の緊張感と群像劇の複雑な感情を声で立体化し、活字だけでは得られない体験を届けてくれます。「爆弾」——シンプルなタイトル通り、聴き始めた瞬間から爆発が始まります 💣🔥✨

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投稿日:2026年5月
— ひより —

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