「アストロズを再生せよ——ラグビーに何の興味も知識もない、ズブの素人が。」
左遷された男が挑む、弱小ラグビー部の再建。プールにいる地下ロケット、陸王、半沢直樹……池井戸潤が繰り出す「逆境から這い上がる男の物語」の系譜に連なる傑作が、また一本生まれました。池井戸潤『ノーサイド・ゲーム』は、2019年TBS日曜劇場で大泉洋主演によりドラマ化、ラグビーワールドカップ日本開催の年に空前の盛り上がりを見せた感動の企業スポーツ小説です。
Audible版のナレーターは、俳優・ナレーターとして活躍し、テレビ東京「カンブリア宮殿」のナレーションを放送開始から長年担当する高川裕也さん。「企業を元気にする声」という評を持つそのハスキーボイスが、池井戸潤の骨太なビジネス×スポーツの世界を鮮やかに体現します。
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ノーサイド・ゲーム
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📚 作品の基本情報
- タイトル:ノーサイド・ゲーム
- 著者:池井戸潤
- ナレーター:高川裕也
- 出版社:ダイヤモンド社(文庫:講談社文庫)
- ジャンル:企業小説・スポーツ小説
- 原作刊行:2019年6月11日(書き下ろし)
- ドラマ化:2019年7月〜 TBS日曜劇場(大泉洋主演)
- Audible制作:Audible Studios
📖 あらすじ
大手自動車メーカー・トキワ自動車の経営戦略室次長として活躍していた君嶋隼人(きみしま・はやと)。優秀なビジネスマンだった彼は、ある日、副社長・滝川が推進する大型買収案件に異を唱えます。社内では明らかに分が悪い状況でしたが、君嶋は正しいと信じる道を曲げませんでした。
その結果——会議から約3か月後、君嶋は横浜工場の総務部長に左遷させられます。さらに、追い打ちをかけるように押し付けられたのが、同工場にある社会人ラグビーチーム「アストロズ」のゼネラルマネージャー(GM)の兼務でした。
かつては強豪として全国トップを争ったアストロズも、今は低迷続き。成績は振るわず、巨額の赤字を垂れ流している。親会社からは「廃部」の二文字がちらつき始めていた——。
ラグビーのルールもろくに知らない君嶋が、なぜ廃部寸前のチームを再建しなければならないのか。組織の論理で動く会社と、勝利のためだけに戦う選手たちの間で、君嶋は何度もぶつかりながら奮闘します。
「One for All, All for One(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」——ラグビーの精神が、やがて会社と選手と君嶋を、思いもよらない方向へと動かしていきます。そして試合終了の笛と同時に「ノーサイド」が宣言されるとき——敵と味方の区別がなくなるその瞬間に、この物語のすべてが収束します。
✍️ 著者プロフィール:池井戸潤
池井戸潤(いけいど・じゅん)さんは1963年6月16日生まれ、岐阜県加茂郡出身の小説家です。子どもの頃から図書館にある国内外のミステリーを読み漁り、特に江戸川乱歩賞受賞作は必ず買って読むほどのミステリー好きでした。慶應義塾大学文学部および法学部を卒業後、1988年に三菱銀行(当時)に入行。なんと同期入行に、後の頭取となった「半沢淳一」という人物がいたというエピソードが知られています。
1995年、32歳で銀行を退職し、コンサルタント業を営みながら執筆活動を開始。銀行員時代に目の当たりにしたリアルな企業の内幕が、後の作品群の骨格を形成しています。
- 1998年「果つる底なき」で第44回江戸川乱歩賞受賞・デビュー
- 2010年「鉄の骨」で第31回吉川英治文学新人賞受賞
- 2011年「下町ロケット」で第145回直木三十五賞受賞
- 2020年 野間出版文化賞受賞
映像化実績は国内随一ともいうべき規模で、TBS日曜劇場とは特別な縁を持ちます。「半沢直樹」シリーズ(堺雅人主演・「倍返し」が流行語大賞)、「下町ロケット」(阿部寛主演)、「陸王」(役所広司主演)、「ノーサイド・ゲーム」(大泉洋主演)、「空飛ぶタイヤ」(長瀬智也主演)、「七つの会議」(野村萬斎主演)、「ルーズヴェルト・ゲーム」(唐沢寿明主演)など、ヒット作品が枚挙にいとまありません。
池井戸作品に一貫するテーマは「組織の不正に立ち向かう、働く人間の誇り」。そのカタルシスは、働いたことがある人間なら誰もが共感する「あるある」を骨格にしながら、ドラマティックに増幅されます。本作もその例外ではなく、「半沢直樹のラグビー版」と呼ぶ読者が多いのもうなずけます。
🎙️ ナレータープロフィール:高川裕也
高川裕也(たかがわ・ゆうや)さんは1962年11月8日生まれ、三重県四日市市出身の俳優・ナレーター・演出家です。ベルベットオフィス所属。三重県立四日市高等学校卒業後、1984年に仲代達矢率いる無名塾に入塾し、舞台俳優として本格的なキャリアをスタートさせました。身長176cm、体重65kg、A型。趣味はブルース鑑賞、特技は乗馬・殺陣・書道で、ペットに猫を飼っているという「渋さ」の似合う個性の持ち主です。
俳優として映画・テレビ・舞台と幅広く活躍する一方、ナレーターとしての実績が特筆されます。代表作品は以下のとおりです。
- ナレーション:テレビ東京「カンブリア宮殿」——放送開始(2006年)からナレーターを担当。経営者や企業の闘いをレポートするこの硬派な経済番組のナレーションを長年一人で支えてきた
- ナレーション:「SASUKE」「NNNドキュメント」「世界秘境全集」など
- 映画出演:「空飛ぶタイヤ」(池井戸潤原作!)「ソロモンの偽証」「ひかりのたび」など
- テレビ出演:「鬼と呼ばれた男」(NHK)「あんどーなつ」「芋たこなんきん」など
- 舞台:「セールスマンの死」ほか
Audibleでは本作のほか、同じ池井戸潤原作の『空飛ぶタイヤ』も朗読しており(映画版に本人も出演)、池井戸作品との縁の深さが際立っています。
「カンブリア宮殿」のナレーターとして培った、企業と経営者の熱量を言葉に乗せる力——「淡々とドキュメントを語り、情熱がシャウトするスポーツ、そして時折の茶目っ気」という自身の声の特徴は、まさに本作の「ビジネス×スポーツ×逆境」というテーマとぴったり重なります。企業の現場を知り尽くした声が、君嶋の奮闘をリアルに体現します。
🎧 Audibleで聴くポイント
◆ 「カンブリア宮殿の声」が池井戸作品を語る必然
高川裕也さんは2006年のスタートから「カンブリア宮殿」のナレーターを長年務めてきました。日本の企業と経営者の奮闘を声で伝え続けてきたその経験が、池井戸潤の企業×スポーツ小説を語る上で理想的な下地となっています。「企業を元気にする声」と評される高川さんのハスキーボイスが、君嶋の葛藤と闘志をリアルに届けてくれます。
◆ ラグビーを知らなくても一気聴きできる
タイトルに「ラグビー」が入っていますが、主人公・君嶋自身がラグビー素人という設定なので、スポーツのルールや知識がなくても置いていかれません。「ノーサイド」「スクラム」「One for All, All for One」——本作に出てくるラグビー用語は、物語の中で自然に意味が伝わってくる書き方になっています。Audibleで聴きながら通勤・ランニング中に、ラグビーの熱気を体感してください。
◆ 「池井戸作品の新定番」としての位置づけ
「下町ロケット」「陸王」「半沢直樹」と池井戸作品を読み進めてきた方の「次の一冊」として本作は最適です。これらの作品と共通して「左遷→逆境→組織との闘い→感動のカタルシス」という池井戸フォーミュラが健在でありながら、ラグビーというスポーツの持つ「チームの一体感」「試合後のノーサイド」という特性が、このフォーミュラを新しい次元へと引き上げています。
◆ ドラマを観た方にも、まだの方にも
2019年のドラマ版(大泉洋主演)を観た方は、原作の丁寧な心理描写やビジネス部分の詳細を補完する形でAudibleを楽しめます。ドラマ未視聴の方も問題なし——むしろ原作で先に世界観を楽しんでからドラマに進むのも◎。ラグビーワールドカップ日本開催(2019年)と同時期の刊行・放映で大いに盛り上がった、今なお色褪せない名作です。
💬 ひよりの感想
① 「左遷」から始まる物語のお約束が心地いい
池井戸潤作品を読んでいると、「またこのパターン来た!」とわかっているのに毎回ドキドキしてしまう自分がいます。正しいことを言ったら左遷される、理不尽な組織の論理——それを食らっても立ち上がる主人公。本作の君嶋もまさにそのタイプで、知っているからこそ安心して物語に乗れるし、その上でどんな驚きがあるか楽しめる。池井戸潤ブランドの強みを再確認しました。
② ラグビーの「ノーサイド」という概念が物語に深みを与える
試合終了の笛が鳴ったら、敵も味方もない——「ノーサイド」という言葉が、単なるスポーツ用語ではなく物語全体のテーマとして機能していることが、読み(聴き)進めるにつれてじわじわとわかってきます。ビジネスの世界にもラグビーの精神を持ち込めたら——というメッセージは、実に池井戸らしい。
③ 選手たちの個性が次々と立ち上がってくる
アストロズの選手たちは、ラグビーへの情熱と、サラリーマンとしての組織の論理の間で葛藤しています。そのひとりひとりの人間ドラマが、チームの再建という大きな物語の中で、小さいけれど確かな輝きを放っています。高川裕也さんの声が、その一人ひとりをきちんと立体的に届けてくれました。
④ 高川裕也さんの声の「重厚感」が池井戸作品にぴったり
「カンブリア宮殿」で経営者の物語を語り続けてきた声は、確かに「ビジネスの現場感」を持っています。君嶋が会議室で上司と対峙するシーン、ラグビー部員と向き合うシーン——ハスキーで芯のある高川さんの声が、池井戸作品の「男の矜持」をしっかりと運んでくれます。
⑤ Audibleで聴くと「One for All, All for One」が耳に焼き付く
この言葉は本作の中で何度も繰り返されますが、高川さんの声で聴くとそのたびに胸に響く重みが増す感覚があります。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」——この言葉を耳から受け取る体験は、活字で読むときとは確かに違う感動があります。
⭐ 項目別評価
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリーの面白さ | ★★★★★ | 池井戸フォーミュラ×ラグビー精神の融合が完璧 |
| キャラクターの魅力 | ★★★★★ | 君嶋の芯の強さと選手たちの葛藤が生き生きしている |
| Audibleとの相性 | ★★★★★ | ビジネス現場の声・高川裕也が池井戸作品に完璧にハマる |
| ナレーションの質 | ★★★★★ | カンブリア宮殿ナレーター×池井戸作品の必然のマッチング |
| ながら聴きのしやすさ | ★★★★★ | テンポよく展開するので通勤・ランニングに最適 |
| 初心者へのおすすめ度 | ★★★★★ | 池井戸入門・Audible入門の両方に最適な一冊 |
🙋 こんな方におすすめ
- ✅ 「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」などの池井戸作品が好きな方
- ✅ ラグビーが好きな方・ワールドカップを観た記憶がある方
- ✅ 組織の論理と個人の信念が葛藤するドラマが好きな方
- ✅ TBSドラマ版(大泉洋主演)を観て原作も気になった方
- ✅ 通勤・ランニングのながら聴きで熱くなれる作品を探している方
- ✅ 池井戸潤を初めて読む(聴く)方の入門作として
📝 まとめ
『ノーサイド・ゲーム』は、「左遷→逆境→逆転のカタルシス」という池井戸潤作品のDNAと、ラグビーが持つ「ノーサイド」「One for All, All for One」という精神が見事に融合した、これ以上ないスポーツ企業小説です。
「カンブリア宮殿」でビジネスの現場を長年語り続けてきた高川裕也さんの声が、君嶋隼人の怒りと誇りと情熱を余すところなく体現します。通勤中に聴いていると、思わず足が速くなるかもしれません。
※本記事にはAmazonアソシエイト等のアフィリエイトリンクが含まれています。
📚 池井戸潤のAudible人気作もチェック
- ハヤブサ消防団——当ブログでも紹介!ナレーター:杉山怜央。山岳小説×ミステリー。
- 空飛ぶタイヤ——ナレーター:高川裕也(本作と同じ!)。企業の不正と闘う長編。
- 下町ロケット——直木賞受賞の代表作。中小企業の技術者たちの闘い。
- 七つの会議——会議室を舞台にした企業の不正告発ミステリー。
投稿日:2026年5月 / 著者:ひより


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