花まんま あらすじ

直木賞

『花まんま』あらすじと感想|第133回直木賞受賞・映画化短編集をAudibleナレーター吉野貴大さん・河井春香さんの朗読で聴く

著者:朱川湊人/ナレーター:吉野貴大・河井春香/出版社:文藝春秋(Audible版:Audible Studios)

こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、朱川湊人さんの『花まんま』。
第133回直木賞を受賞し、2025年には鈴木亮平さん・有村架純さん主演で映画化もされた話題の短編集です。
昭和30〜40年代の大阪の下町を舞台にした、怖くて温かくて切ない6つの物語に、休憩中に聴いていたつもりが、続きが気になって手が止まらない時間が続きました。
吉野貴大さん・河井春香さんお二人の朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。

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花まんま

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『花まんま』のあらすじ

表題作「花まんま」の主人公は、大阪の下町で母、妹のフミ子と暮らす加藤俊樹。父を事故で亡くし、母の細腕一つでの生活は苦しいながらも、親子三人で支え合う日々を送っていました。しかしフミ子が4歳になったある冬、彼女は母のお腹にいた時の記憶を話し終えると突然嘔吐し、それ以降どこか様子がおかしくなってしまいます。やがてフミ子は、自分が何者かの生まれ変わりであることを語り始めるのです。

本作は表題作のほか、「トカビの夜」「妖精生物」「摩訶不思議」「送りん婆」「凍蝶」の全6編からなる短編集。昭和30〜40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公たちが体験した、怖くて不思議で、けれどどこか温かい記憶が綴られています。差別や偏見が色濃く残る時代を生きる子どもたちの視点から、生と死、記憶というテーマが静かに描かれていきます。

2005年に第133回直木賞を受賞した本作は、2025年に鈴木亮平さん・有村架純さん主演で映画化。原作の子ども時代のエピソードに加え、大人になった兄妹のその後を描くオリジナルストーリーが追加され、大きな話題となりました。

ひよりの感想

正直に言うと、映画のイメージから「心温まる感動作」だと思って聴き始めたのですが、想像していたよりもずっとホラー要素の強い短編集で、良い意味で予想を裏切られました。休憩中に聴いていたのですが、「送りん婆」の呪文が読み上げられる場面では、思わず背筋がぞくりとして手を止めてしまいました。

それぞれの短編に共通するのは、「怖いけれど、どこか温かい」という不思議な読み味です。表題作「花まんま」では、前世の記憶を持つ妹の言動に最初は不気味さを感じるのですが、彼女が生前の家族に会いに行く場面では、切なさと温かさが同時にこみ上げてきました。子どもの頃に感じていた、大人には見えない世界への畏怖や好奇心を思い出させてくれるような作品です。

昭和の大阪の下町の空気感がリアルに描かれているのも印象的でした。差別や偏見といった重いテーマも扱われていますが、それを声高に告発するのではなく、子どもたちの目線から静かに問いかける筆致が心に残ります。6編それぞれ違った味わいがあり、聴き終えたあとにじんわりと余韻が残る短編集でした。

ながら読書ポイント

全6編の短編集なので、休憩中や移動中に1話ずつ聴き進めやすい構成です。ホラー要素のある話もあるので、一人で静かな環境で聴くとより物語の空気感に浸れます。

著者・朱川湊人さんのプロフィール

生年 1963年生まれ
出身 大阪府
出身大学 慶應義塾大学
前職 出版社勤務を経て著述業へ
デビュー 2002年「フクロウ男」で第81回オール讀物推理小説新人賞を受賞
主な受賞歴 2003年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞/2005年『花まんま』で第133回直木賞
主な作品 『花まんま』『花のたましい』『なごり歌』『かたみ歌』『わくらば日記』『都市伝説セピア』「知らぬ火文庫」シリーズなど

朱川湊人さんは、出版社勤務を経て2002年に「フクロウ男」でデビューした大阪府出身の作家です。翌年には「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、2005年、大阪の少年たちを主人公にした短編集『花まんま』で直木賞に輝きました。

金子みすゞの詩「花のたましい」からイメージが広がって生まれたという表題作は、実際に朱川さんが目にした、娘を亡くした父親へのインタビュー記事がきっかけになっているといいます。刊行から20年の時を経て映画化された際には、朱川さん自身も撮影現場を訪れ、その体験から映画の公式スピンオフ小説集『花のたましい』を書き下ろすなど、原作者として作品世界を大切に育て続けています。「怖くて温かい」という独自の作風は、朱川さんならではの持ち味です。

ナレーター・吉野貴大さん、河井春香さんのプロフィール

吉野貴大さん 8月29日生まれ/大阪府豊中市出身/ケンユウオフィス所属
河井春香さん 1978年6月11日生まれ/大阪府出身/東京俳優生活協同組合所属

吉野貴大さんは、当ブログでも夜明けのすべてや婚活マエストロなど複数の作品でおなじみのナレーター。大阪府豊中市出身ということもあり、本作の舞台である大阪の下町の空気感を、自然な関西弁のニュアンスも交えながら丁寧に読み進めています。少年時代の俊樹の視点から語られる不思議な体験を、落ち着きと親しみやすさを兼ね備えた声で表現しています。

河井春香さんも大阪府出身の女性声優・ナレーター。本作のようにホラー要素と人情味が同居する物語において、不気味さと切なさの両方を丁寧に読み分ける表現力が持ち味です。妹フミ子や、各短編に登場する女性たちの心情を繊細に表現し、物語の余韻を深く印象づけてくれます。

お二人とも大阪出身であることから、本作が持つ昭和の大阪の下町らしい空気感が、朗読を通してより一層リアルに伝わってきます。

よくある質問

Q. 『花まんま』はどんな作品ですか?

昭和30〜40年代の大阪の下町を舞台に、子どもたちが体験した怖くて温かい6つの物語を収めた朱川湊人さんの短編集です。第133回直木賞を受賞し、2025年に映画化もされました。

Q. 映画のような感動作をイメージしていますが、雰囲気は同じですか?

原作はホラー要素の強い短編集で、映画とは少し印象が異なります。ただし「怖くて温かい」という独自の読み味は共通しており、原作ならではの魅力があります。

Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?

全6編の短編集で1話ずつ完結しているため、休憩中や移動中に聴き進めやすい作品です。

Q. Audible版のナレーターは誰ですか?

吉野貴大さんと河井春香さんが朗読を担当しています。

まとめ

『花まんま』は、昭和の大阪の下町を舞台に、怖さと温かさが同居する6つの物語を描いた朱川湊人さんの直木賞受賞作。大阪出身の吉野貴大さんと河井春香さんの朗読が、その土地の空気感まで丁寧に届けてくれます。ぜひ「ながら読書」でその不思議な世界に浸ってみてください。

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