『ひと』あらすじと感想|2019年本屋大賞2位の傑作青春小説をAudibleナレーター浅木俊之さんの朗読で聴く
著者:小野寺史宜/ナレーター:浅木俊之/出版社:祥伝社(Audible版:Audible Studios)
こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、小野寺史宜さんの『ひと』。
2019年本屋大賞2位に輝いた、その名の通り「ひと」との繋がりを描いた傑作青春小説です。
たった一つのコロッケから始まる不思議な縁の物語に、休憩中に聴いていたつもりが、続きが気になって手が止まらない時間が続きました。
ナレーターの浅木俊之さんの朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。
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ひと
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『ひと』のあらすじ
調理師だった父を交通事故で亡くし、女手一つで東京の大学に進ませてくれた母までも急死してしまった柏木聖輔。二十歳の秋、たった一人になった聖輔は、全財産150万円を抱えたまま大学を中退し、就職先のあてもないまま、動き出せない日々を過ごしていました。
そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った50円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていきます。惣菜屋の店主・田野倉督次夫妻をはじめ、商店街の人々や同郷の幼馴染・青葉との関わりを通して、たった一人になったはずの聖輔の周りに、少しずつ人の温かさが広がっていく様子が描かれていきます。
「大切なのはものじゃない。形がない何かでもない。人だ。人材に代わりはいても、人に代わりはいない」——本作は、そんな「ひと」との繋がりの尊さをまっすぐに描いた作品。2019年本屋大賞で2位を獲得し、多くの読者の心をつかんだベストセラーです。
ひよりの感想
正直に言うと、「両親を亡くし大学を中退した青年の話」というあらすじだけを聞くと、重苦しい物語を想像していました。ですが実際に聴き始めると、聖輔を取り巻く人々の温かさに満ちた、不思議と前向きな読み心地の作品で、休憩中に聴いていたのに気づけば予定の時間をとっくに過ぎても聴き続けてしまう日が何度もありました。
印象的だったのは、聖輔がいろいろな人に自分の合鍵を渡したり、貯金額を教えたりと、危なっかしいほど人を信じて頼っていく姿です。危機管理という意味では心配にもなるのですが、それだけ聖輔の人柄の良さが伝わってくる構成になっていて、彼に手を差し伸べたくなる周囲の人々の気持ちが、聴いているこちらにも自然と重なっていきました。
派手などんでん返しがあるわけではなく、日常の小さな出来事が丁寧に積み重ねられていく作品ですが、それでも中弛みすることなく一気に聴き通せてしまう不思議な吸引力があります。聴き終えたあとには、しばらく連絡を取っていなかった友人に連絡したくなるような、そして無性にコロッケが食べたくなるような、温かい余韻が残る一冊でした。
ながら読書ポイント
重すぎるテーマながらもテンポよく読み進められる構成なので、休憩中や移動中の「ながら読書」にぴったりです。惣菜屋の描写も多いので、小腹が空いた時間帯に聴くと聖輔と一緒にコロッケが食べたくなるかもしれません。
著者・小野寺史宜さんのプロフィール
| 生年 | 1968年生まれ |
| 出身 | 千葉県 |
| 出身大学 | 法政大学文学部英文学科 |
| デビュー | 大学卒業後に就職するも2年で退職。アルバイトをしながら投稿を続け、2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞、2008年「ROCKER」でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞 |
| 主な受賞・候補歴 | 2019年本屋大賞2位(『ひと』)/2023年本屋大賞154位(『いえ』) |
| 主な作品 | 『ホケツ!』『家族のシナリオ』『みつばの郵便屋さん』『ひと』『まち』『いえ』『それ自体が奇跡』など |
小野寺史宜さんは、幼い頃から読書と文章を書くことが好きだったという千葉県出身の作家です。大学卒業後に一度就職するも2年で退職し、アルバイトをしながら小説の投稿を続けてデビューに至りました。「ひと」「まち」「いえ」と、シンプルな一文字タイトルのシリーズ的な作品群で知られています。
小野寺さんは自身の作風について、「ストーリーそのものを読ませるタイプではない」と語っており、あらすじだけでは魅力が伝わりにくい一方、実際に読む(聴く)と登場人物一人ひとりへの丁寧な描写に引き込まれる作品ばかりです。プロットを作る際には登場人物全員をフルネームで考えるというこだわりも、リアリティのある人間関係を生み出す小野寺さんならではの創作スタイルです。
ナレーター・浅木俊之さんのプロフィール
浅木俊之さんは、Audibleでオーディオブックの朗読を手がけるナレーターです。本作のように、日常の中の人間関係や感情の機微を丁寧に描く作品において、聴き手に寄り添うような落ち着いた語り口が持ち味です。
聖輔が抱える喪失感や戸惑い、そして周囲の人々との関わりを通して少しずつ前を向いていく心情の変化を、派手な演技に頼らず自然なテンポで読み進めており、本作が持つ「ひと」の温かさというテーマを丁寧に届けてくれます。
よくある質問
Q. 『ひと』はどんな作品ですか?
両親を亡くし大学を中退した青年・柏木聖輔が、商店街の人々との出会いを通して人との繋がりの温かさに気づいていく小野寺史宜さんの青春小説です。2019年本屋大賞で2位を獲得しました。
Q. 暗く重い話ですか?
両親を亡くすという重いテーマから始まりますが、全体を通して前向きで温かい読み心地の作品です。悲壮感だけの物語ではありません。
Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?
テンポよく読み進められる構成のため、休憩中や移動中の「ながら読書」に向いています。
Q. Audible版のナレーターは誰ですか?
浅木俊之さんが朗読を担当しています。
まとめ
『ひと』は、たった一つのコロッケから始まる不思議な縁を通して、「人と人との繋がり」の尊さを丁寧に描いた小野寺史宜さんの傑作青春小説。浅木俊之さんの穏やかな朗読が、聖輔と彼を取り巻く人々の温かさを届けてくれます。ぜひ「ながら読書」で、その優しい読後感を味わってみてください。


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