「ヤクザ・ミーツ・キャット! 昭和の極道が、令和の半グレに戦いを挑む」
30年の刑期を終えた65歳の元ヤクザと、コロナ禍で大学を中退した21歳の若者。ハチワレの仔猫マチルダが結びつけた「血のつながらない家族」が、闇バイトと半グレの脅威に立ち向かう——。大藪春彦賞作家・福澤徹三さんが「人情味のあるヤクザ」を描かせれば右に出る者なし、と評される筆致で放つ最新クライムエンターテインメント。Audibleで大島昭彦さんの朗読が、昭和と令和の対比を声で鮮やかに描き出します 🎧🐱🔥
📚 本の基本情報
- タイトル:マチルダによろしく
- 著者:福澤徹三
- 出版社:小学館
- 発売:2025年3月18日
- ページ数:426ページ
- ナレーター:大島昭彦
- ジャンル:クライムノベル/人情エンターテインメント
- 個人評価:★★★★★(5.0 / 5.0)
タイトル「マチルダによろしく」と「ヤクザ・ミーツ・キャット」
タイトルの「マチルダ」とは、物語の中で主人公たちが拾うハチワレの仔猫の名前です。この小さな命が、バラバラだった登場人物たちを「家族」へと変えていく——本書のキャッチコピー「ヤクザ・ミーツ・キャット!」が示すとおり、強面の元極道と愛らしい仔猫という、最高にギャップのある組み合わせが物語の核になっています。
昭和の極道が、令和の半グレに戦いを挑む。
新しい家族を守るために――
あらすじ
物語はふたりの視点で進んでいきます。
ひとりは久我壮真(くが・そうま)、21歳。コロナ禍で実家からの仕送りが絶え、大学を中退せざるを得なくなった若者です。金に困った壮真は、家賃の安いシェアハウスに移り住みます。
シェアハウスの同居人は、無愛想で何を考えているかわからないはたちの女の子・澪央(みお)と、職を失い妻子に見捨てられた40過ぎのフリーター・沼尻(ぬまじり)。どこか訳ありな住人たちでした。
そこへ新たに引っ越してきたのが、もうひとりの主人公鳶伊仁(とびい・じん)、65歳。なんと30年の刑期を終えて出所したばかりの元ヤクザです。曲がったことが大嫌いで、芯の通った昭和の極道——その圧倒的な存在感に、シェアハウスの空気は一変します。
ある日、壮真と鳶伊は道端でハチワレの仔猫を拾います。「マチルダ」と名付けられたその仔猫の世話をきっかけに、二人は便利屋で一緒に働き始め、シェアハウスの住人たちの距離も少しずつ縮まっていきます。バラバラだった面々が、マチルダを中心に「ひとつの家族」になっていく——。
しかし、平穏は長くは続きません。壮真の友人が「闇バイト」に手を出してしまったことをきっかけに、シェアハウスの住人たちは狡猾で残忍な半グレ集団とのトラブルに巻き込まれていきます。薬物、闇バイト、暴力——令和の社会の闇が、新しい家族に牙をむきます。
警察に頼ることもできない状況で、元ヤクザの鳶伊、元警察官で現在は便利屋を営む天音(あまね)、そして壮真たちは、大切な家族とマチルダを守るため、半グレたちに真っ向から立ち向かっていきます。
鳶伊が生まれ育った「昭和」と、壮真が生きる「令和」——ふたりの視点が交互に語られることで、二つの時代の価値観が鮮やかに対比される、人情とアクションが融合したクライムエンターテインメントです。
本書の見どころ
① 福澤徹三の真骨頂「人情味あふれるヤクザ」
福澤さんといえば『すじぼり』『俠飯(おとこめし)』などで知られる、「人情味のあるヤクザを描かせると抜群に上手い」作家です。本作の鳶伊もまさにその系譜。65歳という年齢ながら、半グレたちを物ともせずに立ち向かう姿に、多くの読者が「こんなオッさんになれたらさぞかしいいだろうな」と惚れ込んでいます。曲がったことが嫌いで、芯が通っていて、強い——「古き良き時代」の男の魅力が全編に漂います。
② 「昭和」と「令和」の対比という構造
著者の福澤さん自身が、ふたりの視点を選んだ理由を「鳶伊が生まれ育った昭和と、壮真が生きる令和を対比させたかったから」と語っています。30年服役していた鳶伊にとって、令和の社会——スマホ、SNS、闇バイト——はまるで異世界。一方、令和に生きる壮真にとって、鳶伊の昭和的な価値観は新鮮で、時に眩しい。この対比が物語に深い奥行きを与えています。
③ 「闇バイト」という超現代的なテーマ
本作が時事性を持つのは、「闇バイト」という令和最大級の社会問題を物語の中心に据えている点です。SNSで募集され、抜け出せなくなる若者たち——このリアルな恐怖が、エンターテインメントの中に巧みに織り込まれています。昭和の極道が令和の半グレに挑むという構図は、単なる対決ではなく「時代が失ったもの」への問いかけにもなっています。
④ 猫好きも安心して読める優しさ
動物が出てくる小説では「この子がどうなってしまうのか」が心配で読めない、という方も多いはず。本作についてあらかじめお伝えすると——マチルダが傷つけられることはありません。半グレのアジトに連れて行かれて少し怖い思いをする場面はありますが、最後まで無事です。安心して、マチルダの愛らしさと、それを守る家族の奮闘を楽しんでください 🐱
著者・福澤徹三さんについて
『マチルダによろしく』を書いた福澤徹三(ふくざわ・てつぞう)さんは、ホラーからクライムノベル、警察小説まで幅広いジャンルを手がける実力派作家です。
福澤徹三さんのプロフィール
- 生年:1962年
- 出身地:福岡県北九州市
- 職歴:高校卒業後、肉体労働・営業・飲食店・アパレルなど様々な職業を経てデザイナー兼コピーライターに転業。プロダクション、広告代理店、百貨店アートディレクター、専門学校講師を経て作家活動へ
- デビュー:2000年『幻日』(文庫化タイトル『再生ボタン』)
- 受賞:2008年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞、2014年『Iターン』で第3回エキナカ書店大賞
- 所属:日本推理作家協会会員・日本文藝家協会会員
福澤さんの経歴は実にユニークです。高校卒業後、肉体労働・営業・飲食店・アパレルなど、様々な職業を経験した後にデザイナー兼コピーライターへ転業。さらにプロダクション、広告代理店、百貨店のアートディレクターを経て、専門学校講師をしながら作家活動に入ったという、波乱に満ちた道のりを歩んできました。この多様な人生経験が、社会の底辺やアウトローたちを描く際のリアリティの源泉になっています。
ホラー・怪談実話・クライムノベル・警察小説と幅広く執筆する一方で、怪談蒐集も続けるという多才ぶり。「飢餓と飽食、ふたつの時代の青春」という言葉で本作を語る福澤さんの視点は、自身の苦労人としての経歴に裏打ちされたものでしょう。
福澤徹三さんの主な作品
- 📖 『幻日』(2000年)— デビュー作(文庫化タイトル『再生ボタン』)
- 📖 『すじぼり』(2006年)— 第10回大藪春彦賞受賞
- 📖 『東京難民』— 映画化
- 📖 『白日の鴉』— テレビドラマ化
- 📖 『Iターン』(2010年)— 第3回エキナカ書店大賞・ドラマ化・コミカライズ
- 📖 『俠飯(おとこめし)』シリーズ— ドラマ化・コミカライズ(人気シリーズ)
- 📖 『忌談』『怪を訊く日々』— 怪談実話の代表作
- 📖 『マチルダによろしく』(2025年)— 最新クライムエンターテインメント
『東京難民』は映画化、『白日の鴉』はドラマ化、『俠飯』『Iターン』はドラマ化・コミカライズと、映像化作品も多数。アウトローの世界をリアルかつ人間味豊かに描く筆力は、現代日本のクライムノベルの第一人者と呼ぶにふさわしいものです。
ナレーター・大島昭彦さんについて
本作Audibleの朗読を担当するのが、大島昭彦(おおしま・あきひこ)さんです。
大島昭彦さんは、Audibleで本作『マチルダによろしく』の朗読を務めるナレーターです。詳細な公開プロフィール情報は限られていますが、本作のようなふたりの視点・幅広い年齢層の登場人物が交錯するクライムノベルの朗読には、声の演じ分けの確かな技術が求められます。
本作には、65歳の元ヤクザ・鳶伊の重厚な存在感、21歳の若者・壮真の瑞々しさ、無愛想な女の子・澪央、中年フリーター・沼尻、そして凶悪な半グレ集団——実に幅広いキャラクターが登場します。昭和の極道の渋い声から、令和の若者の軽やかな声まで、「昭和と令和の対比」という本作のテーマを声のトーンで表現することが、本作朗読の大きな聴きどころです。
強面の鳶伊が仔猫マチルダに見せる不器用な優しさ、半グレとの緊迫した対決シーンの迫力、シェアハウスの住人たちの何気ない掛け合いの温かさ——これらの「硬軟」を声で表現することで、福澤さんが描く人情エンターテインメントの世界が、耳から豊かに立ち上がってきます。
Audibleで聴くときのポイント
- 🎧 速度は1.0〜1.3倍がおすすめ(テンポのよいストーリー展開を活かすため)
- 🎧 鳶伊(昭和)と壮真(令和)の視点の切り替わりを意識して聴くと、対比構造が際立つ
- 🎧 通勤・家事・散歩のお供に最適——ストーリーの牽引力が強いので「ながら聴き」がはかどる
- 🎧 福澤さんの『俠飯』シリーズが好きな方は、本作も間違いなく楽しめます
- 🎧 猫好きの方も安心して——マチルダはちゃんと無事です!
聴いた感想
① 鳶伊が、とにかくカッコいい
聴き始めてすぐに鳶伊の虜になりました。65歳、30年の服役という設定なのに、半グレたちに一歩も引かずに立ち向かう姿——「こんなカッコいいおじいさん、いる?」と何度も思いました。曲がったことが嫌いで、新しい家族を本気で守ろうとする彼の生き様に、聴きながら胸が熱くなりました。
② マチルダの愛らしさが物語を優しくする
強面の元ヤクザと、無垢な仔猫マチルダ——このギャップが本当に最高です。鳶伊がマチルダに見せる不器用な優しさのシーンは、聴いていて思わず笑顔になりました。マチルダがいることで、シリアスな闇バイトの物語が、温かい人情ドラマとして成立している——この絶妙なバランスが福澤さんの巧さだと感じます。
③ 「血のつながらない家族」の尊さ
本作の核心は、バラバラだった他人同士がマチルダを通じて「家族」になっていくことです。元ヤクザ、中退した若者、無愛想な女の子、見捨てられた中年男——社会の片隅で生きる彼らが互いを守ろうとする姿に、「家族とは血ではなく、守りたいと思う気持ちなのだ」という普遍的なメッセージを感じました。
④ 闇バイトの恐怖がリアルすぎる
令和の社会問題である闇バイトの描写は、エンタメでありながらゾッとするリアリティがありました。軽い気持ちで足を踏み入れると抜け出せなくなる恐怖——壮真の友人が巻き込まれていく過程は、決して他人事ではないと感じさせます。だからこそ、鳶伊たちがそれに立ち向かう展開にカタルシスがあるのです。
⑤ ラストの爽快感が最高
クライマックス、家族とマチルダを守るために半グレに真っ向から挑む展開は、とにかく爽快でした。「とにかく読んでいて気持ちのいい物語。ラストも最高!」という読者評に、私も完全に同意します。聴き終えた後、温かい満足感が残る一作でした。
項目別の評価
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | ★★★★★ | 人情とアクションの融合が見事 |
| キャラクター | ★★★★★ | 鳶伊がとにかくカッコいい |
| テーマ性 | ★★★★★ | 昭和と令和の対比・血のつながらない家族 |
| 朗読(大島昭彦) | ★★★★★ | 幅広いキャラクターを声で演じ分け |
| 読後感 | ★★★★★ | 温かく爽快なカタルシス |
🎯 こんな方におすすめ
- ✓ 福澤徹三さんの作品(特に『俠飯』『すじぼり』)が好きな方
- ✓ 人情味のあるクライムノベルが好きな方
- ✓ 猫が好きな方(マチルダは無事です!)
- ✓ 「血のつながらない家族」の物語が好きな方
- ✓ アクションとヒューマンドラマの両方を楽しみたい方
- ✓ 闇バイトなど現代社会の問題に関心がある方
- ✓ 「読んで(聴いて)気持ちのいい」エンタメを求めている方
- ✓ 通勤・家事中に没入できる物語を探している方
⚠ 注意したい方
- 暴力・薬物・半グレの描写があるため、苦手な方は注意(ただし過度にグロtestではありません)
- 純文学的な静かな物語を期待する方には、エンタメ色が強く感じられるかもしれません
まとめ|昭和の極道と仔猫が教えてくれる「家族」のかたち
『マチルダによろしく』は、30年の刑期を終えた元ヤクザと、コロナ禍で道を見失った若者、そして仔猫マチルダが織りなす「血のつながらない家族」の物語でした。
「ヤクザ・ミーツ・キャット!」というキャッチコピーの軽やかさの奥には、昭和と令和という二つの時代の対比、闇バイトという現代の闇、そして「大切なものを守る」という普遍的なテーマが深く織り込まれています。人情味のあるアウトローを描かせれば日本随一の福澤徹三さんならではの、笑って泣いて、心の奥がじんわり熱くなる傑作です。
大島昭彦さんの朗読は、65歳の元極道から21歳の若者まで、幅広いキャラクターを声で巧みに演じ分け、「昭和と令和の対比」というテーマを耳から豊かに届けてくれます。強面の鳶伊が仔猫マチルダに見せる不器用な優しさを、ぜひ耳で味わってみてください 🐱🔥✨
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投稿日:2026年5月
— ひより —


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