『よむよむかたる』あらすじと感想|直木賞候補の傑作読書会小説をAudibleナレーター西岡琳吾さんの朗読で聴く
著者:朝倉かすみ/ナレーター:西岡琳吾/出版社:文藝春秋(Audible版:Audible Studios)
こんにちは、ひよりです。今回ご紹介するのは、朝倉かすみさんの『よむよむかたる』。
第172回直木賞候補作にもなった、平均年齢85歳の超高齢読書サークルを描く傑作読書会小説です。
本を読み、人生を語り合う老人たちの姿に、休憩中に聴いていたつもりが、気づけば胸があたたかくなる場面がいくつもありました。
ナレーターの西岡琳吾さんの朗読とあわせて、じっくりレビューしていきます。
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よむよむかたる
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『よむよむかたる』のあらすじ
小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には、今日も老人たちが集まります。月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は、今年で20年目。最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳という超高齢読書サークルです。人の話を聞かない、予定はなかなか決まらない、持病の一つや二つは当たり前——それでも毎月集まれていることが奇跡的な、個性豊かな面々です。
カフェの店長・安田松生は28歳。小説の新人賞を受賞し、本を一冊出したものの、それ以降二作目が書けずにいます。昨年、叔母からカフェの運営を引き継いだ安田は、「小説家」であることを見込まれ、読書会の世話係としてこの会に加わることになりました。当初は斜に構えていた安田でしたが、老人たちと共に本を朗読し、感想を語り合ううちに、少しずつ心境に変化が訪れていきます。
著者・朝倉かすみさんの母親が長年参加していた実際の読書会の風景をきっかけに生まれた本作。「本を読み、人生を語る」ことで人が生のままの姿を取り戻していく、幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたような物語は、第172回直木賞候補作に選ばれ、読書推進運動協議会「敬老の日にすすめる1冊」にも選出されました。
ひよりの感想
正直に言うと、「平均年齢85歳の読書会」というあらすじを聞いたときは、静かで落ち着いた物語を想像していました。ですが実際に聴き始めると、人の話を聞かない、予定が全然決まらないという老人たちの掛け合いがとにかく賑やかで、休憩中に聴いていたのに、くすっと笑ってしまう場面が何度もありました。
印象的だったのは、普段は自己開示をあまりしない老人たちが、20周年記念誌に綴ったストレートな気持ちに触れる場面です。読書会の中では見せない本音がそこに書かれていて、長く生きてきた人たちの思いに、こちらまで自然と耳を傾けたくなるような気持ちになりました。二作目が書けずに鬱屈を抱えていた安田の心境が、老人たちとの関わりを通して少しずつ変化していく様子にも、静かな希望を感じます。
派手などんでん返しがあるわけではないのですが、時々くすっと笑い、時々じんわりと涙腺が緩む——そんな緩急のある読み心地で、気づけばあっという間に聴き終えてしまいました。「本を読み、人生を語る」ことの豊かさを、押しつけがましくなく伝えてくれる一冊です。
ながら読書ポイント
全7章構成で、それぞれ読書会の一場面ごとに区切られているため、休憩中や移動中に聴き進めやすい作品です。老人たちの賑やかな掛け合いが多いので、リラックスして楽しみたい時間帯にぴったりです。
著者・朝倉かすみさんのプロフィール
| 出身 | 北海道 |
| 主な受賞歴 | 第32回山本周五郎賞(『にぎやかな落日』) |
| 主な候補歴 | 第161回直木賞候補(『にぎやかな落日』)/第172回直木賞候補(『よむよむかたる』) |
| 主な作品 | 『にぎやかな落日』『てらさふ』『よむよむかたる』など |
朝倉かすみさんは、北海道を舞台にした作品を数多く手がける作家です。『にぎやかな落日』では50代の男女の出会いを描いた大人のリアルな恋愛小説で山本周五郎賞を受賞し、直木賞候補にも選ばれました。当時「男の人が女の人をケアするという作品が珍しいと思って書いた」という同作を読んだ編集者が号泣したことが、本作『よむよむかたる』執筆依頼のきっかけになったといいます。
『よむよむかたる』は、朝倉さん自身の母親が20年近く参加していたという実際の「ちいさな集まり」の風景がきっかけで生まれた作品。母親を通して見た、老人たちが「もともとのすがた」で語り合う姿の輝きを閉じ込めたいという願いが、本作の温かな読み心地を支えています。老いや死を見つめながらも、決して湿っぽくならない朝倉さんならではの筆致が光る一冊です。
ナレーター・西岡琳吾さんのプロフィール
西岡琳吾さんは、Audibleでオーディオブックの朗読を手がけるナレーターです。本作のように、複数の高齢者キャラクターが賑やかに掛け合う群像劇において、それぞれの人物の個性を丁寧に読み分ける表現力が持ち味です。
人の話を聞かない、予定が決まらないといった老人たちのユーモラスなやり取りをテンポよく届けながら、20周年記念誌に綴られた本音が明かされる場面ではしっとりとした情感を大切に読み進めており、本作が持つ「賑やかさ」と「温かさ」の両方を丁寧に伝えてくれます。
よくある質問
Q. 『よむよむかたる』はどんな作品ですか?
小樽の古民家カフェに集まる平均年齢85歳の読書サークルと、二作目が書けない若手小説家との交流を描いた朝倉かすみさんの長編小説です。第172回直木賞候補作に選ばれました。
Q. 高齢者が主人公の物語は重い内容ですか?
老いや死といったテーマにも触れますが、老人たちの賑やかなユーモアあふれる掛け合いが多く、決して重苦しいだけの物語ではありません。
Q. 「ながら読書」向きの作品ですか?
全7章構成で読書会の場面ごとに区切られているため、休憩中や移動中に聴き進めやすい作品です。
Q. Audible版のナレーターは誰ですか?
西岡琳吾さんが朗読を担当しています。
まとめ
『よむよむかたる』は、「本を読み、人生を語る」ことの喜びを、賑やかで温かな筆致で描く朝倉かすみさんの直木賞候補作。西岡琳吾さんの丁寧な朗読が、老人たちの人生の重みとユーモアを届けてくれます。ぜひ「ながら読書」で、その幸福な時間を味わってみてください。


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